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2008年02月18日(月) 22時36分

<サブプライム>金融市場、欧州の一部の銀行を警戒毎日新聞

 【ロンドン藤好陽太郎】英政府は英住宅金融大手で、中堅銀行のノーザン・ロックを一時国有化することを決めた。米低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題で、資産が健全なはずの銀行が、破綻(はたん)に追い詰められたことで、まだ07年通期の決算発表を残している欧州の一部の銀行に対して、金融市場の警戒感が強まっている。

 サブプライムローン問題を引き金に短期金利が急上昇し、銀行が金融市場で資金を取りづらくなった昨年8月、欧州中央銀行(ECB)は、世界の中央銀行で初めて約15兆円もの資金を電撃的に供給した。しかし、英国の中央銀行のイングランド銀行は、ロンドン市場が同様の状況に陥っても様子見を続けた。金融市場に加わる金融機関のモラル・ハザード(倫理観の欠如)を警戒したためだ。

 しかし、結局は英政府とイングランド銀は、取り付け騒ぎに見舞われたノーザンに対して緊急融資を行い、資産の健全性を「保証」した。だが、ノーザンからの預金流出は加速し、数日後には預金を全額保護しなければならなくなった。こうした対応の遅れだけでなく、英政府の貧弱な預金保護策も浮き彫りになった。当初英国では、約42万円分しか預金を全額保護しておらず、これを超す預金は、約700万円の9割までしか保護していなかった。いったん金融機関に異変があれば、取り付け騒ぎに直結しかねないのだ。

 ノーザンに対しては英ヴァージン・グループなどが買収に名乗りを上げ、ギリギリまで民間への売却が検討された。ただ、預金流出は止まらず、イングランド銀行が注入しなければならない公的資金は急膨張。結局は、一時国有化せざるをえなくなった。

 ノーザン以外にも、英バークレイズ銀行もイングランド銀から資金支援を受けており、英国金融機関に対する先行き不透明感は、容易にぬぐえそうにない。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080218-00000153-mai-bus_all