記事登録
2008年02月17日(日) 15時00分

紀州ジグザグ:ネットいじめ克服へ 「情報モラル教育」確立急ぐ−−県教委 /和歌山毎日新聞

 県教委は今年度、有識者や関係機関との会合の場で「情報モラル教育」を積極的に取り上げている。情報機器やインターネットを活用する力を身に付け、「ネットいじめ」などの克服も課題となっているからだ。山口裕市教育長は「教育の果たす役割は大きい。ICT(情報通信技術)の遅れも指摘され、どのような対応ができるか考えていきたい」と話す。【最上聡】
 「危ない!」「おかしい!」
 今月初め、和歌山市の和歌山大教育学部付属小。ICTを活用する授業の研究会で、児童らが声を上げた。実際にネットの掲示板で他校と交流したり、ネットゲームを体験。そのうえで、安易に個人情報を書き込むことや、「無料ダウンロード」などと誘導するホームページに潜む危険性を、教材を使って児童らに気付かせた。
 文部科学省の07年8月の調査によると、県内は校内LAN整備率と教員の校務用コンピューター整備率が全国43位。教員の自己評価によるアンケート調査で、授業や校務でのICT活用能力は全国最低クラスだった。
 同年12月にあった情報モラルの指導についてのセミナーに参加した県内教員の意識調査では、38%が「時間がない」、32%が「指導方法が分からない」と回答。ICT環境整備や知識向上とともに、保護者との連携が重要とした人も多かった。
 今年1月にあった「きのくに教育協議会」では、委員から「授業中、携帯電話をポケットに入れてメールが打てる」「小学生が人気のカードをネットオークションで売買している」といった実態が報告された。
 子どもがネットに接続する環境はほとんどが携帯電話。ある中学校の調査では6割の生徒が携帯電話を持ち、友人の掲示板を見るなどの利用もしていた。別の会合では「いじめは子ども同士の携帯電話のメールでもある。(未成年の有害サイトへの接続を制限する)フィルタリングで防げると考えるのは間違い」との意見も出た。
 同協議会では今後、保護者の理解促進と家庭・地域の情報モラル教育の取り組みへの支援も議論する予定で、春ごろをめどに報告書をまとめ、県教委に提出する方針だ。

2月17日朝刊

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080217-00000190-mailo-l30