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2008年02月16日(土) 03時06分

国家公務員改革案、キャリア廃止・政務専門官新設を明記読売新聞

 政府が今国会に提出する「国家公務員制度改革基本法案」の原案が15日、明らかになった。

 国家公務員採用I種試験合格者(キャリア)を幹部に登用するキャリア制度を廃し、新たに幹部候補の育成システムを創設することを明記した。また、政治家と国家公務員との接触制限も導入し、国会議員への政策説明担当として「政務専門官」を新設する。

 基本法案は、公務員制度改革の基本方針や改革のスケジュールを定めるもので、政府は3月上旬までに国会に提出する方針。原案は、福田首相の私的懇談会「公務員制度の総合的な改革に関する懇談会」が今月5日に提出した報告書などをもとにまとめられた。

 原案はキャリア制度廃止に関し、I種試験合格者と、それ以外の2種、3種という現行の区分を無くし、採用試験を総合職、一般職、専門職に分けて実施する。採用後の対応では、試験の種類に関係なく幹部候補への道を開く「幹部候補育成課程」を創設。同課程を経ても幹部への登用を「保証されるものではない」との表記も盛り込んで、能力本位での人事を徹底させることとした。

 政治家との接触制限については、「大臣の国会審議への対応等の政務を補佐する」ための政務専門官を新設し、それ以外の職員には「国会議員への接触に関する規律を設ける」とした。懇談会では、専門官以外の職員と政治家との接触を「閣僚による許可制」としていたのに比べ、具体的な規律の内容を示さないことで、今後の議論に余地を残した。

 また、法案原案には、国家公務員人事を一元的に管理する組織の設置も盛り込まれた。ただ、懇談会が提案した「内閣人事庁」には言及しておらず、新組織の規模や内容は不透明だ。

 一連の改革実現には、国家公務員法改正など個別の法整備が必要。基本法案では、施行後3年以内に法整備し、5年以内にすべて実施するとした。

 今回の原案は、私的懇談会の報告書の内容を大筋で反映しているものの、政府・与党内から「急進的過ぎる」「閣僚のやる気をそぐ方法は避けるべきだ」などとして、異論が出た部分については条文の表現に幅を持たせた。法案提出までにはなお、修正を求める動きがありそうだ。とくに、政治家と国家公務員の接触に関する部分では調整の難航が予想されるほか、国家公務員の人事を一元管理する新組織にも、「膨大な情報を一手に管理できるのか」との懸念がある。キャリア制度に関する条文なども、議論が続きそうだ。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080216-OYT1T00033.htm