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2008年02月15日(金) 02時00分

秘密保護法制を検討 漏らした公務員の厳罰化視野 政府朝日新聞

 政府の情報機能強化検討会議(議長・町村官房長官)は14日、内閣情報調査室(内調)に「内閣情報分析官」を新設するなど、首相官邸の情報機能を強化する一方、情報を漏洩(ろうえい)した国家公務員への罰則強化などを念頭に、秘密保護法制を検討する方針を決めた。これを受け、町村官房長官は同日、二橋正弘官房副長官を長とするチームに、具体的な検討に着手するよう指示した。

 同会議は日本版「国家安全保障会議(NSC)」の創設を目指した安倍前首相が06年12月、首相官邸の情報収集・分析能力向上のために設置。今回の方針は、昨年2月の中間報告の内容を踏襲し、より具体化したものだ。

 情報保全措置を巡っては、「情報の集約・共有、基盤整備の前提」として、機密情報の取扱者を政府が認定するセキュリティークリアランス(秘密取扱者適格性確認)制度の導入など、政府の情報保全措置が重要と指摘。国家公務員法の守秘義務違反の罰則が懲役1年以下であることをあげ、現行法制は「抑止力が必ずしも十分でないなどの問題がある」とした。

 そのうえで、「国民の広範な理解を得ること」を前提としながら、「諸外国における現状と実態や我が国の実情を踏まえ、真にふさわしい法制のあり方に関する研究を継続する」と明記した。

 町村氏は会議後、記者団に「戦後日本だけが異常にインテリジェンス(情報)を軽視してきた。このことを改めていかなければならない。秘密保護法制の検討をはじめることにした」と強調した。

 一方、情報の収集・分析体制の強化では、地域ごと、テーマごとに内閣情報分析官を置く。関係省庁の情報を集約して分析・評価し、「情報評価書」の原案をまとめてもらう。官民から人材を起用、5人程度の定員を想定している。

 在外公館で人脈を生かした「対外人的情報収集」に携わる専門家の育成に努めることや、情報収集衛星による分析の強化なども盛り込んだ。

 国家公務員による情報漏洩をめぐっては、首相の私的懇談会「公務員制度の総合的な改革に関する懇談会」が5日、提出した報告書が「厳格な懲罰を加える」と罰則強化を提言したほか、防衛省改革会議でも情報保全体制の確立が主要議題になっている。防衛機密に限らず、国家公務員全般について、守秘義務の強化が政権のテーマのひとつとして浮上した。

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