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2008年02月15日(金) 11時51分

説明書にうそで金融被害 勧誘者にも賠償責任 最高裁朝日新聞

 うその内容を含んだ説明書を使って金融商品を「勧誘した者」が損害賠償の責任を問われるか——。証券取引法(現金融商品取引法)の規定をめぐって争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第二小法廷(古田佑紀裁判長)は15日、「同法に基づく責任を問える」とする初めての判断を示した。同様の被害に対する救済範囲が広がり、投資家の保護につながりそうだ。

 英国に拠点を置いた投資グループの、金利7.5%などをうたった金融商品が02年に償還できなくなり、国内では投資家280人が120億円相当の被害を受けた。30億円分を購入した短期金融市場の取引仲介業者(大阪市)が東京都内のグループ関連会社と役員に対し、被害のうち1億円分の損害賠償を求めて提訴した。

 争点は、投資会社が投資対象や運用方法を顧客に示した目論見書(説明書)に関する証券取引法の解釈。原告側は、うその目論見書の作成にかかわった者や商品の発行者のほかに、書面を使うなどして「勧誘した者」も責任を問えると訴えたが、二審・東京高裁判決は対象外と解釈してこの主張を退けた。

 裁判を通じて投資会社側は「投資家の自己責任」を強調した。しかし、第二小法廷は「責任主体を発行者などに限定する文言はなく、勧誘した者も含まれる」と判断した。ただ、虚偽の内容であることを知らなかったと勧誘者側が証明したときには責任を免れる規定などがあるため、審理を東京高裁に差し戻した。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/national/update/0215/TKY200802150109.html