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2008年02月15日(金) 22時11分

家族の要請で延命中止、日本学術会議が終末期医療に提言読売新聞

 病気の悪化で死を免れなくなった患者に対する医療のあり方を検討していた、日本学術会議の「臨床医学委員会終末期医療分科会」(委員長=垣添忠生・国立がんセンター名誉総長)は15日、報告書を公表した。

 学術会議は1994年の「死と医療特別委員会報告」で「患者の意思が不明な時は、延命治療の中止は認めるべきではない」としていたが、今回、昨年5月に国が示した「終末期医療に関する指針」を追認するかたちで、家族による患者の意思の推定を認めた。

 報告書では、患者の意思が確認できないまま、家族から延命治療の中止を求められた際の対応について、詳しく記述。▽家族全員の意思が一致しているか▽中止を求める理由は何か——などを、様々な職種で構成する医療チームが繰り返し確認、記録すべきだとした。

 家族の求めを受け入れる判断は医療側に任せたが、「客観的な判断も望まれる」として、医療機関に、終末期医療に対応する制度や倫理委員会などの機関の常設を求めた。

 過去に各地で起きた「安楽死・尊厳死事件」にも触れ、「激しい痛みや苦痛を取り除く緩和医療が十分に浸透していないことが、事件の重要な背景の一つ」と指摘、緩和医療の充実が事件の突発をなくす早道とした。専門外の医師も、緩和医療を学ぶべきだと提言している。

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20080215-OYT1T00600.htm