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2008年02月15日(金) 21時42分

<自社株買い>07年度は最高、4兆円を突破 株安が拍車 毎日新聞

 企業が自社の株式を市場などから買い戻す「自社株買い」の07年度の実施総額が15日、4兆円を突破し、過去最高だった06年度(3兆9800億円)を上回ったことが野村証券金融経済研究所の全上場企業の調査で分かった。自社株買いは株主還元の一環として増加しているが、昨夏以降の株価急落で、取得の動きに拍車がかかっているようだ。

 自社株買いは、市場で流通する株が減少するため1株当たりの価値を高める効果がある。このため多くの企業はここ数年、株主への利益還元策として、配当と並んで積極的に実施している。本格的な大買収時代を控え、「株主から信認を得たい」という思惑も大きいとされる。

 こうした中、米国の低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題に端を発した株安で株式の割安感が高まり、自社株取得の動きが急速に進んだ。みずほフィナンシャルグループが3710億円で自社株を購入したのをはじめ、大手金融機関や商社、鉄鋼など主要企業が1000億円以上の大規模な取得に相次ぎ乗り出している。

 年明け以降も、トヨタ自動車が新たに1200億円、大日本印刷が500億円の自社株取得枠を設けるなど、自社株取得の動きは衰えていない。

 同研究所の西山賢吾ストラテジストは「07年度全体の自社株買いの取得額は4兆円台半ばから後半の高水準に上る可能性が高い」と見ている。【宇田川恵】

◆07年度の自社株取得額の上位企業◆

(1)みずほFG     3710億円

(2)トヨタ自動車    2510億円

(3)キヤノン      2500億円

(4)三菱商事      1501億円

(5)三菱UFJFG   1500億円

(6)武田薬品工業    1286億円

(7)NTTドコモ    1230億円

(8)JFE       1200億円

(9)住友商事      1050億円

(10)新日本製鉄    1000億円

※15日までの発表ベース

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080215-00000144-mai-brf