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2008年02月14日(木) 12時22分

九州誠道会を指定暴力団に、発砲事件から1年9か月読売新聞

 指定暴力団道仁会(本部・福岡県久留米市)の内部分裂に端を発した抗争事件を巡り、福岡県公安委員会は、道仁会から分裂した九州誠道会(本部・同県大牟田市)を2月末にも指定暴力団とする方針を固めた。

 発砲事件の発生から1年9か月。福岡県や佐賀県で両団体の組事務所近くの住民らは不安な生活を強いられていた。

 指定でようやく組事務所の使用制限命令を出すことができるようになるが、地元住民からは「もっと早く指定できなかったのか」との声も出ている。

 道仁会の内部分裂は、2006年5月の会長人事が発端。この人事に不満を持った傘下の有力組織が九州誠道会を結成し、昨年6月、九州誠道会幹部が佐賀県で刺殺されるなど、これまでに計6人の両団体関係者が殺害された。さらに昨年11月には、佐賀県の病院に入院中の板金業男性(当時34歳)が誠道会関係者と間違われ、道仁会系組員に射殺される事件も起きた。1992年の暴力団対策法施行後、抗争事件を巡る死者7人は最多。

 暴対法では、指定暴力団同士の対立抗争などで、組事務所周辺の住民生活の平穏が害される恐れがあると認められる場合、都道府県公安委員会が暴力団事務所の使用制限を命じることができる。

 今回のケースでは、すでに指定団体になっていた道仁会にだけ事務所の使用制限をかけることは可能だった。

 しかし、その場合、九州誠道会の関係事務所への使用制限は出せず、「バランスを欠くうえ、(九州誠道会事務所付近の)住民の理解も得られない」と警察当局は判断。その後、九州誠道会を指定する作業を続けてきたが、指定には、暴対法が規定する犯歴保有者を確認しなければならず、その作業に時間がかかっていた。

 約11年前、指定暴力団山口組のナンバー2が射殺され、内部分裂で山口組とたもとを分かった中野会が指定暴力団に指定された際には最初の事件発生から約2年が経過しており、警察庁は「今回は迅速に作業ができた」と説明している。

 組事務所近くの小学校では集団下校が続いており、3年生女児の母親(42)は「組事務所の使用が制限されれば登下校も安心になる」としつつ、「それだけで抗争が終わるとは思えない」と複雑な表情も見せた。

 今回の指定で、両団体に事務所の使用制限を出すことが可能になったが、実際に使用制限命令を出すには、特に緊急性のある場合を除き、1週間前に団体に通知したうえで、公開の場での意見聴取を経なければならない。

 九州誠道会が指定されると、暴対法に基づく全国の指定暴力団は22団体。新たな指定は、2000年の福博会(本部・福岡市)以来。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080214-00000033-yom-soci