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2008年02月14日(木) 06時12分

自治体の灯油代助成 生活保護世帯、地域で明暗河北新報

 原油高の影響を軽減しようと、東北各地で低所得世帯への灯油購入費助成が広がる中、生活保護世帯への支援に地域差が出ている。生活保護費の冬季加算に対する解釈が自治体によって異なり、助成の対象外とする市町村があるためだ。日用品の値上がりも相次ぐ中、助成のない生活保護世帯の人々は、1段と厳しい冬を過ごしている。

 青森市は1月、低所得世帯に対し、1万円の灯油代の助成を始めた。対象は高齢者と障害者、1人親世帯。生活保護世帯は対象外とした。
 「さまざまな値上げが生活に響く。健康なときは働いて税金を納めてきたのに、不公平です」
 市内の茂木ナツエさん(76)は訴える。パーキンソン病の夫博さん(75)と2人暮らし。博さんは障害者手帳二級だが、通院などに掛かる経費約2万円を生活保護として受給しており、灯油の助成は受けられなかった。
 寒さで体が硬直する博さんのため、暖房は欠かせない。月額で約12万円の年金と約2万2000円の冬季加算はあるが、食費や入浴回数を削り、ようやくこの冬をしのぐ。

 青森市は「原油高対策は、国が生活保護制度の枠組みで対応するべきだ」との考え。佐々木誠造市長は1月末、県市長会長として厚生労働省を訪れ、2004年度から据え置かれている冬季加算の増額を要望した。
 一方、秋田市は生活保護世帯にも一律5000円を支給する。市の担当者は「助成は値上げ分を補うためで、冬季加算は原油高に対応していない」と指摘した。

 東北では福島を除く各県で、全市町村が灯油代の助成を予定。福島県では少なくとも24市町村が実施見込みという。
 生活保護世帯の扱いは、市町村を財政支援する東北各県でも分かれる。福島県は冬季加算を理由に対象から外した。ほかの5県は対象を限定せず、各市町村の判断に委ねている。

 東北以外でユニークな支援を打ち出したのは新潟県。県が生活保護世帯、市町村がほかの低所得者世帯と、支援の役割分担をした。県の担当者は「生活保護世帯は一番の弱者。市町村の助成の呼び水にしようと、率先して始めた」と話している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080214-00000010-khk-soci