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2008年02月13日(水) 02時30分

<ミャンマー>僧侶が証言「1mで狙い撃ち」長井さん射殺で毎日新聞

 【バンコク藤田悟】ミャンマーの中心都市ヤンゴンで07年9月、デモ取材中に死亡した映像ジャーナリスト、長井健司さん(当時50歳)が治安部隊に銃撃された模様について、ヤンゴンからタイに逃れた僧侶が「約1メートルの至近距離から狙い撃ちされた」と証言した。間近での目撃者によるこうした証言は初めて。「偶発的事件だった」とする軍事政権側の主張を真っ向から否定するものだ。

 僧侶のケーサーインザさん(31)は9月27日午後、事件現場近くのホテル前から6人の僧侶とともにデモ行進を開始した。この際、ビデオカメラを持った日本人男性がデモの様子を撮影していた。

 デモ隊は約200メートル進んだ地点で治安部隊によって止められ、軍用トラックから降りた兵士たちがデモ隊に向けて発砲を始めた。撮影を続けていた男性に対し、駆け寄ってきた兵士が約1メートルの距離から発砲。続いて4人の兵士があおむけに倒れた男性の手足を持って連れ去った。男性はカメラを手に持ったままの状態だったという。

 ケーサーインザさんは約5メートル離れた場所から目撃しており「兵士は明らかに男性を狙って撃った」と明言した。その後の海外メディアの報道で男性が長井さんと知ったという。

 軍事政権は、長井さんのカメラは「遺留品の中になかった」として返還していないが、少なくとも長井さんが現場から運び出された時点では手に持っていたことになる。

 ケーサーインザさんは軍事政権による迫害を恐れて10月にタイに逃れた。「国民のために行動したことは後悔していないが、あの場所でデモをしていなければ長井さんが亡くなることはなかったと思うと痛ましい気持ちだ」と話している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080213-00000010-mai-soci