記事登録
2008年02月13日(水) 21時27分

<労災死亡事故>派遣元、派遣先に賠償命令 東京地裁毎日新聞

 製缶会社で勤務中に労災事故で死亡した飯窪修平さん(当時22歳)の両親=山梨県南アルプス市=が、雇用主の人材派遣会社と製缶会社などに計1億9200万円の賠償を求めた訴訟で、東京地裁は13日、両社に約5170万円の支払いを命じた。山田俊雄裁判長は「製缶会社と飯窪さんは実質的に使用従属の関係にあった」として事実上の偽装請負と判断、安全配慮義務について派遣先の責任を認めた。

 04年に製造業での派遣労働が認められ、非正規雇用が拡大する一方、派遣労働者の労働環境悪化が社会問題化している。原告代理人は「派遣先経営者に労働者の安全確保を迫る判決」と話している。

 判決によると、飯窪さんはテクノアシスト相模(神奈川県相模原市)に雇用され、大和製罐の東京工場(同)で缶のへこみなどを検査していた03年8月、高さ89センチの作業台から転落し頭を強く打って同11月に死亡した。

 被告側は、大和製罐からテクノ社が請け負った業務で、労働者の派遣ではないと主張。判決は「飯窪さんが大和製罐の設備で作業している上、実質的に同社の指示のもとに労務を提供していた」と判断した。

 その上で、高温下の作業で熱中症などを起こす可能性があるのに、大和製罐は柵などの転落防止措置を施さなかったと認定。雇用主のテクノ社にも同様に安全配慮義務違反を認めた。【北村和巳】

 ▽大和製罐の話 現時点ではコメントできない。

 ▽テクノ社の親会社の話 真摯(しんし)に受け止め対応を検討する。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080213-00000138-mai-soci