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2008年02月13日(水) 08時02分

ダスキン 旧経営陣53億円賠償 株主代表訴訟 最高裁、上告を棄却産経新聞

 ミスタードーナツの無認可添加物を含む肉まん販売をめぐり、運営会社のダスキン(大阪府)に損害を与えたとして、当時の経営陣ら13人に約106億円を同社に賠償するように求めた株主代表訴訟で、最高裁第3小法廷(近藤崇晴裁判長)は12日、経営陣、株主双方の上告を退ける決定をした。これにより、13人に総額53億円の支払いを命じた2審大阪高裁判決が確定した。

 第3小法廷は、上告できるケースにあたらないとして、訴訟内容の判断を示さなかった。経営陣の責任をめぐっては、巨額賠償を命じるなどの厳しい司法判断が多数示されており、今回の決定もこの流れに沿うものといえる。

 1審大阪地裁判決は「無認可添加物の混入を知りながら肉まんの販売を続けた」として、肉まん販売事業の担当役員だった2人に請求通り約106億円の支払いを命じたほか、当時の役員1人に約5億3000万円の賠償責任を認めた。残り10人への請求は退けた。

 一方、2審判決は「販売を中止していてもダスキンの信用低下は避けられなかった」などとして、担当役員2人の賠償額をおよそ半分の約53億円と算定。さらに、ほかの11人にも「損害を最小限にとどめる適切な対策を講じなかった」として、53億円のうち連帯して約2億1000万〜約5億6000万円の支払いを命じた。

 2審判決によると、ミスタードーナツは平成12年、中国から輸入した肉まんの販売を開始。その直後、国内では使用が禁止されている添加物が混入していることに気づいたが、回収せずに約300万個を販売した。

 企業役員の経営責任をめぐっては、大阪地裁が12年、大和銀行ニューヨーク支店の巨額損失事件に関連した株主代表訴訟で、当時の役員ら11人に計約7億7500万ドル(約830億円)の支払いを命じたほか、旧北海道拓殖銀行の元頭取ら14人に総額約101億円の賠償命令が確定するなどしている。

 ダスキンの話「全社一丸となって、引き続きコンプライアンス経営の構築に努める」

 ダスキン大肉まん事件代表訴訟弁護団の話「食品の安全性が極めて重要な問題で、消費者の信頼確保は食品会社の重大な責務であることが司法の場で確認された点で、大きな意義があると考える」

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