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2008年02月13日(水) 11時50分

ICF摘発 証券監視委、発行会社の責任見逃さず産経新聞

 アイ・シー・エフ(ICF)の旧経営陣による偽計取引事件の捜査は、不正な手段で株価変動を演出する従来の仕手筋などの証券犯罪だけでなく、その裏で暗躍する株の発行会社(上場会社)自体の不正も見逃さないという、証券取引等監視委員会の強い意思の表れといえる。発行会社が不正行為に加担すれば、新株の発行は「金を印刷するに等しい行為」(証券監視委幹部)になりかねないからだ。(尾島正洋、飯村文紀)

 証券市場では近年、業績不振の企業が第3者割当増資や新株予約権発行による大量の新株発行を繰り返すケースが相次いでいる。中には、事業実体がほとんどないのに数年間で発行済み株数を10倍以上に増やしたり、増資後に業績を下方修正するなど、明らかに不自然な企業もある。

 監視委は従来、上場企業から新株の割り当てを受けて株価操縦などの不正に手を染める仕手筋などの摘発に力を入れてきた。しかし、「その裏で利益を得る発行会社や仕手戦の金主となる暴力団も市場から退場させなければ意味がない」と監視委幹部は指摘する。

 今回の事件で監視委は、昨年3月に大阪府警に逮捕された「梁山泊」元幹部らの株価操縦事件を端緒に、元幹部らと組んで利益を上げていたICF側の責任追及に向け調査を進めていた。

 ICF旧経営陣は、株価上昇時に自社株を売り抜け数十億円の利益を得ていたという。

 「これまで何十社もつぶしては、かなり不正に近い行為で利益を出してきた」。ICF旧経営陣について、証券関係者はこう説明する。ICF元社長は元々の経営陣ではなく、株価操縦を会社側から画策するために経営陣に乗り込んできたとみられる。

 本来なら、開示された情報をもとに誰もが参加できるのが証券市場の大前提。株を発行する側が不正な情報を流し、特定のグループだけが利益を得ることであれば市場から排除されねばならない。今回の事件のように、不正を目的に株を発行する上場会社の経営に参画した自称経営者を摘発することも、今後の監視委のテーマとなりそうだ。

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