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2008年02月13日(水) 12時37分

足利の女児誘拐殺人、再審請求を棄却産経新聞

 栃木県足利市で平成2年、4歳の女児が殺害された「足利事件」で、宇都宮地裁(池本寿美子裁判長)は13日、殺人とわいせつ目的誘拐などの罪に問われ、最高裁で無期懲役が確定した元幼稚園バス運転手、菅家利和受刑者(61)の再審請求を棄却した。

 足利事件では、DNA型鑑定の証拠能力が最高裁で初めて認定された。菅家受刑者の弁護団は当時、導入後間もない鑑定の結果や殺害方法に疑義があるなどとして、冤罪(えんざい)を主張し、14年に再審請求していた。

 再審請求で弁護側は、女児の下着に付いた体液と菅家受刑者のDNA型が一致しない疑いがあるとする上告審提出の鑑定書について、「最高裁では証拠調べをしておらず新証拠に当たる」と主張。さらに、自白に基づき菅家受刑者が女児の正面にしゃがみ両手で首を絞めたとする確定判決の認定に対し、「溺死と考えるのが合理的」とする鑑定書を新証拠として提出した。

 地裁はDNAの再鑑定をしなかったが、鑑定した医師の尋問を昨年5月に非公開で実施していた。

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 ■足利園児誘拐殺人事件

 平成2年5月12日夜、栃木県足利市内のパチンコ店駐車場で遊んでいた保育園児の松田真実ちゃん=当時(4)=が行方不明になり、近くの河川敷で遺体で見つかった。県警は3年12月、DNA鑑定を根拠に菅家利和受刑者を逮捕。菅家受刑者は1審の公判途中から無罪を主張した。公判では自白やDNA鑑定の信用性が争点となり、弁護側は上告審で菅家受刑者と被害者の下着に付いた体液のDNA型が一致しない疑いがあるとする鑑定書を提出したが、12年7月に上告を棄却され、無期懲役が確定した。

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