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2008年02月13日(水) 11時01分

滝川のタクシー補助制度詐欺:無収入装い派手な生活 金の流れ解明へ /北海道毎日新聞

 ◇覚せい剤や暴力団にも?
 滝川市で生活保護を受給していた夫婦が、通院時に利用できるタクシー代補助制度を悪用した詐欺事件。だまし取ったとされる2億円以上の金は、札幌市北区のタクシー会社「飛鳥緑誠介(りょくせいかい)」を通じて、片倉勝彦(42)と妻ひとみ(37)の両容疑者に流れた。無収入を装いながら派手な暮らしをしていた夫婦。金の一部は覚せい剤の購入に充てたり、暴力団に流れていた可能性もあり、滝川署などは金の流れの解明を急いでいる。【水戸健一、西端栄一郎】
 ◇行政のずさんさ逆手に
 片倉容疑者は元暴力団組員。10年以上前、滝川市内の市営住宅で暮らしていたころに、家賃の滞納を巡って市とトラブルを起こしたことがあった。
 06年3月、札幌から滝川に転居し生活保護を受け始めた。当初は実際に補助制度を利用して、飛鳥緑誠介のタクシーで札幌に通院していたらしい。ところが、3カ月後の同6月ごろには、滝川市のチェックがずさんであることに気付き、虚偽の「通院証明書」を市に提出し、タクシー代を架空請求するという手口を、飛鳥緑誠介の板倉信博容疑者(57)に持ちかけた。
 思惑通り、タクシー代は緑誠介の口座に次々と振り込まれた。板倉容疑者は当初、架空請求した1往復分のタクシー代25万円のうちの7万円を片倉夫婦へ渡していた。緑誠介の取り分が多かった理由は、実際に通院のために夫婦を運んだこともあり、ガソリン代や車両維持費がかかっていたためとみられる。
 夫婦はさらに見返りを要求。同10月には12万5000円ずつの折半になった。緑誠介の口座の記録などから、夫婦に渡った金は少なくとも7500万円にのぼる。
 滝川市では、監査委員だった市議が事件発覚の1年以上前の06年9月、片倉容疑者のタクシー代請求に疑問を抱き、田村弘市長らに指摘したが、市長らは何の措置も講じなかった。こうした中、同10月にはひとみ容疑者から、主治医がタクシー利用を認める「給付要否意見書」が提出されたが、市は病状把握をせずに支給を開始。公金を垂れ流し続けた行政の怠慢も厳しく問われている。
 ◇温泉付きのマンションも
 札幌市中心部にそびえる14階建ての高級マンション。滝川市に住民票を置く片倉夫婦が07年5月に借り始めたこのマンションの一室には、温泉まで付いていた。夫婦はこのほか、江別や旭川市にもマンションを借り、いずれも親族名義で契約していた。
 また、ドイツ製の高級乗用車も所有。札幌・ススキノの物まねパブに足しげく通っていたほか、飲食店で豪遊していたという。
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 ◇事件の概要
 片倉夫婦は06年3月から生活保護を受給し同11月までの間、タクシー代7500万円を受け取った。夫婦はこの「収入」のため受給資格がなくなったが、同11月〜07年11月、生活保護費370万円とタクシー代1億6140万円を詐取。さらに板倉容疑者、緑誠介社員の小向敏彦容疑者(40)と共謀し06年12月〜07年11月、札幌の病院までタクシーで通院したとの架空の請求をし3925万円をだまし取った疑い。

2月13日朝刊

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080213-00000011-mailo-hok