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2008年02月13日(水) 00時00分

売上高のみ誇張、一般投資家惑わす? ICF企業買収朝日新聞

 IT関連会社「アイ・シー・エフ(ICF)」による企業買収疑惑で、ICFがグループ全体の売上高の膨大な伸びを毎月のように「業績速報」としてホームページに掲載していたことがわかった。買収すれば売上高が増加するのは当然で、業績の好調さをアピールすることで株価の暴騰につなげる目的だったとみられる。買収劇にかかわった関係者は「大ばくちが当たった」と語った。

   

 一連のICFの企業買収は04年4月に始まり、06年1月までに計16社を買収。この過程でICFは毎月の業績速報として、買収先企業と連結した売上高を公表していた。6社目を買収後の05年1月は「前年同月比2388%増」、8社目を買収した05年4月には「前年同月比1537%増」と、売上高の膨張ぶりをアピールした。

 企業価値を過大に評価して公表した疑惑が持たれている大阪市の広告会社「大阪第一企画」買収後の05年3月には、同社の業績を算入した速報で、「創業以来最高の月次売上高を更新」「前期比462%増」とうたった。この発表当日、ICF株の出来高は前日の8倍に達し、株価は36万4千円と約1割上昇した。

 ICFの当時の買収担当者は「企業買収の結果なので、売上高が急増するのは当たり前」としたうえで、「新興市場では株取引に不慣れな一般投資家が多く、こうした数字に惑わされていたようだ」と話している。

 ICFは膨張させた売上高に見合う形で、収益についても水増しをしていたとみられ、05年12月には、経済紙に掲載された中間決算の増収率ランキング1位になった。

 その1カ月後の06年1月、ライブドアに東京地検の家宅捜索が入ったのと前後して一連の買収は終了。06年3月期の決算発表で突然、「買収した子会社の業績を見直すなどした」として55億円の連結最終赤字への転落を明らかにした。

 大阪府警はこうした手法に着目。株価に反映させる目的だったとみて、大阪第一企画の買収経緯に絞って調べを進めている。

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200802130058.html