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2008年02月12日(火) 22時41分

ブリヂストン、中南米や東南アジアで「わいろ」読売新聞

 石油をタンカーから貯蔵施設に移すために使われるマリンホースの販売をめぐる国際カルテルを結んでいたブリヂストン(東京都中央区)が、外国政府などにマリンホースを購入してもらう見返りなどの趣旨で、外国公務員への不正な支出を繰り返していた疑いがあることが、同社の内部調査でわかった。

 不正支出額は2003年以降の取引約20件で計約1億5000万円に上る疑いがある。同社は12日、不正競争防止法違反(外国公務員への利益供与)の可能性があるとして、東京地検に調査内容を報告した。

 同社が公表した内部調査の概要によると、不正な支出の舞台になったのは、中南米や東南アジアでの海外公共調達事業。海外子会社を通じて現地のエージェントに支払う手数料に売上額の数%を加算して支払い、上乗せ分はエージェントから外国政府や公的機関の幹部に渡されていた疑いがあるという。

 対象となった製品は、マリンホースのほか、船の接岸時にクッションになる「防舷材」や、空気で膨らませて河川をせき止める「ラバーダム」など。いずれも同社化工品海外部が扱っており、3品目の年間売り上げは計約90億円に上る。

 不正支出には同部の10人前後がかかわったとみられ、部長や課長の決裁を経て「追加の手数料請求」などの名目で経費として処理していた。同社は個別の支出先を明らかにしなかったが、受注の見返りのほか、自社に有利な仕様で発注するよう働きかける趣旨で支払われたケースもあった。不正支出は15年以上前から続いていた疑いもあるという。

 マリンホースをめぐる国際カルテルでは、日米欧の当局が昨年5月に一斉調査に着手。米司法省が事件当時のブリヂストン化工品海外部部長を逮捕し、公正取引委員会も同社を含む日英仏伊のメーカー5社を処分する方針を固めている。

 不正支出は、国際カルテル発覚を受け、ブリヂストンが日米の弁護士に調査を委託して明らかになった。

 同社は12日午前、東京地検に調査内容を報告。同日午後に都内のホテルで記者会見を開き、荒川詔四(しょうし)社長が「重大なコンプライアンス(法令順守)違反。当社に対する信頼を裏切るもので心よりおわびする」と謝罪し、マリンホース事業からの撤退と化工品海外部の廃止を明らかにした。
 内部調査を3か月をめどに終え、検察当局の判断も考慮したうえで、経営陣の処分を検討するという。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080212-00000045-yom-soci