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2008年02月11日(月) 19時16分

ICF疑惑 買収後に16社中11社は転売・破産朝日新聞

 IT関連会社「アイ・シー・エフ(ICF)」が買収先企業の過大評価で虚偽の企業情報を公表し、自社の株価をつり上げた疑惑で、同社が買収した16社のうち11社は3年未満で転売されたり破産したりしていることがわかった。買収時の評価額計81億6000万円に対し、売却総額は21億円にとどまり、当時の買収担当者は「企業価値の算定がずさんで根拠が薄かった」と証言する。大阪府警と証券取引等監視委員会は、買収そのものが目的化していたとみている。

 ICFは04年4月〜06年1月、株式交換で計16社の買収を繰り返し、自社の株価は最大で4.6倍に上昇した。買収先のうち9社は10カ月〜3年未満で転売され、別の2社はそれぞれ9カ月と1年5カ月後に破産手続きに入った。

 関係者によると、ICFが3億7000万円分の株式交換で05年7月に買収した東京都の不動産広告会社の場合、昨年11月、同じ不動産広告会社の社長個人にわずか1円で売却され、ICFグループから切り離された。

 買収時に保有していた純資産は1700万円分あまりで、05年3月期決算の経常利益も1300万円に過ぎず、買収後しばらくして債務超過に陥っていたという。

 05年5月に15億円の評価で買収した大阪市の駐車場運営会社は、1億8000万円分あまりの純資産を保有していたが、経営不振が続き、約40億円の負債を抱えて06年10月に破産手続きを始めた。

 当時の買収担当者によると、社内では企業の合併・買収(M&A)を急ぐことが至上命題とされ、スタッフ4、5人で常に複数の買収案件を抱えていた。担当者は「買収先が作成した財務諸表や将来計画を精査せずに採用し、異常な状態だった」と話す。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/national/update/0211/OSK200802100052.html