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2008年02月11日(月) 03時04分

NOVA前社長、本格捜査へ お茶の間で特別背任容疑朝日新聞

 倒産した英会話学校NOVA(大阪市)が、テレビ電話を使用して実施していた「お茶の間留学」事業をめぐって、猿橋望・前社長(56)が実質支配する関係会社にサーバー使用料として不当に高額な料金を支払い、5億円前後の損害を受けていた疑いのあることが関係者の話で分かった。大阪府警もこうした事実を把握しており、猿橋前社長が立場を利用して自らの関係会社に利益をもたらしたとみて、会社法の特別背任容疑を視野に本格捜査に乗り出した。

特別は委任疑惑の構図

 この関係会社は「ギンガネット」(東京都)。NOVAとは決算上独立している。猿橋前社長と、猿橋前社長出資の「ノヴァ企画」が全株を保有していたが、NOVA倒産後は取締役3人を解任し破産管財人が社長に就いている。

 NOVAは01年から、電話回線などを使って自宅で英会話授業が受けられる「お茶の間留学」を本格スタートさせた。ギンガ社は、これに使うテレビ電話を開発し、NOVAに販売していた。加えて、ギンガ社が管理するサーバーをNOVAのお茶の間留学事業に利用させ、使用料を受け取っていた。

 しかし関係者によると、ギンガ社のサーバー使用料は通常の取引と比べて不当に高額だったという。府警は01年から、倒産した07年までの間の使用料を通常の取引と比較。5億円前後がNOVAから得た不正な利益にあたると判断した模様だ。

 関係者は「当時ギンガ社には数億円の負債があり、NOVAの利益を付け替えることで負債の穴埋めを図ったのではないか」と指摘している。

 ギンガ社をめぐっては、破産管財人が「テレビ電話の納入価格が不当に高額で、NOVAに数十億円の損害を与えた疑いがある」と指摘していた。

 これに対し、猿橋前社長の代理人は、「テレビ電話の販売による利益は19.1%にすぎず、システムの開発費用などのコストを考慮すると利益はさらに減少する」とし、特別背任罪にはあたらない旨の反論をしていた。

 民間信用調査会社などによると、NOVAの前身の会社は81年に設立。90年代に拡大路線に転じ、全国に約1000校、受講生47万5000人にまで成長した。しかし昨年6月、解約時の精算方法などをめぐり、経済産業省から一部業務の停止命令を受け、受講生が激減して経営が悪化。同年10月、会社更生法の適用を申請した。

 負債総額は約850億円。一部事業は学習塾を経営する「ジー・エデュケーション」(名古屋市)に譲渡された。お茶の間留学事業も引き継がれ、1月上旬現在で受講生は約2500人に上っている。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/national/update/0210/OSK200802100044.html