記事登録
2008年02月10日(日) 23時21分

岩国市長に福田氏当選確実 艦載機移転、容認へ動きも中国新聞

 米空母艦載機の岩国移転問題をめぐる市長辞任に伴う岩国市の出直し市長選は十日、投開票され、無所属新人で自民党前衆院議員の福田良彦氏(37)が、無所属で前市長の井原勝介氏(57)を破り、初当選した。最大の争点となった艦載機の移転問題で、三度目の選択となった民意は、福田氏が主張する「条件付き容認」を支持。移転受け入れを前提とした国との協議が、動きだす可能性が出てきた。

 艦載機移転の是非は、二〇〇六年三月の旧市での住民投票と、合併後の同年四月の市長選で「反対」の意思を示した民意が初めて、「容認」側に動いた。市の移転反対を理由に国が新庁舎建設の補助金を凍結して対立が深刻になった市議会運営でも今後、移転容認の方向で進むとみられる。

 福田氏は、「岩国再生」を掲げた。移転容認の方向で国の財政支援を引き出す構えで、艦載機移転問題は「防音、治安対策で国と交渉し、住民の不安を解消する」と主張。国、県とのパイプを生かした財政再建に意欲を見せ、身近な子育て支援や福祉施策の充実を訴えた。

 立候補の表明は年明けで、議員バッジを外し、「市民党」を前面に、若さもアピールした。女性部会や同級生グループ、移転容認派の市議らが活発に組織づくり。一方、四月の衆院山口2区補選をにらむ自民、公明両党が水面下で支援し、組織選で旧郡部を中心に市内全域に短期間で支持を広げた。

 井原氏は「移転反対」を貫き、「安全、安心を最優先に国と協議し、納得できる解決策を探る」と主張。庁舎の補助金を凍結した国を批判し、「地方自治と民主主義を守る」と訴えた。

 過去三回の市長選と同じく「草の根運動」を展開し、民主、共産、社民の各党支持者からも支援を受けたが、組織力に勝る相手の勢いを止められなかった。

 十二日に三十七歳八カ月で市長に就任する福田氏は、現職では全国で三番目の若さとなる。

 当日有権者数は十二万千七百十七人。投票率は76・26%で、合併後初の前回の65・09%を11・17ポイントと大幅に上回った。(川井直哉)

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200802100291.html