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2008年02月10日(日) 23時06分

<岩国市長選>福田氏が初当選 基地「移転容認」に民意毎日新聞

 米軍再編に伴う空母艦載機部隊の岩国基地移転を最大の争点にした山口県岩国市の出直し市長選が10日、投開票され、移転容認派で前自民党衆院議員の新人、福田良彦氏(37)=無所属=が、移転反対の前市長、井原勝介氏(57)=同=を破り、初当選した。06年3月の住民投票と同年4月の市長選で「移転反対」を示した民意が「容認」に転じた。福田氏は移転問題に関する国との協議に入る構えを示しており、近い時期に移転受け入れを表明する見通し。

 事実上、政権与党が支援した福田氏の勝利は、福田氏の衆院議員辞職に伴い、4月27日に投開票される衆院山口2区補選にも影響しそうだ。

 国は移転反対の岩国市に対し、06年12月に新市庁舎建設補助金約35億円の支給を凍結した。また、米軍再編の関係自治体に払う再編交付金の対象からも岩国市を外している。福田氏は国に、新庁舎補助金約35億円と、今後10年で約134億円が見込まれる再編交付金の支給も求めていく考えだ。

 福田氏は選挙戦で、借金1000億円を超す市の財政再建を「最大の争点」と強調。「今のままでは破綻(はたん)する。国や県と協議できるリーダーが必要」とし、教育・医療の充実や、民間空港再開による経済活性化などを掲げた。移転問題に関しては「国と騒音や治安問題などを個別具体的に協議する」と述べていた。

 対する井原氏は艦載機移転に「現計画では市民の不安を払しょくできない」と反対の姿勢を貫いた。新庁舎補助金を凍結した国を「民主主義と地方自治を危うくし、乱暴」と批判してきたが及ばず、町村合併前の旧岩国市時代から4回連続の当選はならなかった。

 出直し市長選は、新庁舎補助金凍結が発端。井原氏は、合併特例債で穴埋めする予算案を市議会に4度にわたり否決されたため、昨年末に「民意を問う」として、予算の成立と引き換えに市長を辞職していた。

 投票率は76・26%と前回(65・09%)を上回った。当日有権者は12万1717人。【大山典男、内田久光】

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