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2008年02月09日(土) 06時06分

街の景況感、値上げ相次ぎ「急冷却」 低さ6年ぶり朝日新聞

 内閣府が8日に結果を発表した飲食店店主やタクシー運転手らに景況感を聞く「景気ウオッチャー調査」によると、景気の現状をどう判断するかの指数が、1月は前月よりも4.8ポイント落ちて31.8となった。10カ月連続の下落で、下落幅は現在の調査形式になった01年8月以来最大。水準は米同時多発テロの影響が残っていた01年12月以来、6年1カ月ぶりの低さだ。相次ぐ値上げが「街角景況感」を急速に冷やしているようだ。

現状判断指数の推移

 横ばいを示す「50」を下回ったのも10カ月連続で、下落期間は過去最長を更新した。内閣府は「景気回復の実感は一段と弱くなっている」と総括。前月の「極めて弱くなっている」から、表現をさらに下方修正した。

 景況感の現状判断の指数は家計、企業、雇用、いずれも悪化。家計関連では「飲食」の落ち込みが大きく、石油製品や食品など身近な製品の値上げのしわ寄せが来ているようだ。企業関連では「原材料価格の上昇で収益が落ちている」などの声が多い。

 また、2〜3カ月先の景気の先行きを尋ねる先行き判断指数は35.8で、07年12月から1.2ポイントの下落。現状指数と同じく01年12月以来の低さとなった。調査が1月末だったため、中国製ギョーザによる中毒事件が消費に与える悪影響を懸念する声もあった。

 米国の低所得者向け(サブプライム)住宅ローン問題をきっかけに米景気が減速した影響は、世界に広がりつつある。戦後最長の拡大局面を続けている国内景気の先行きも予断を許さない状況となっていることが、同調査で裏付けられた。

■景気ウオッチャーの声

・米、ハム、ソーセージなどのタイムサービスに長蛇の列ができる(北海道・スーパー)

・3〜4月の歓送迎会の予約がほとんどない(北海道・スナック)

・忘年会も激減したが、新年会もなくなっている(東北・旅館)

・ガソリンが高くなり、車通勤からバイクや自転車に替える人が出ている(北関東・乗用車販売)

・以前は1万円札を両替する客が多かったが、最近は千円札を両替する(北関東・レジャー施設)

・「飲むのを少し控えようか」という客の話が聞こえる(南関東・レストラン)

・以前は3000円以上の贈答品がよく売れたが、最近は1500〜2000円が中心(近畿・菓子小売り)

・海外旅行を国内旅行へ変更するなどの影響が出ている(近畿・旅行会社)

・マンションの在庫を処分するための値下げが始まっている(近畿・住宅販売)

・マグロの刺し身などは少量パック、低価格のものが主流。中トロなどは売れなくなっている(四国・スーパー)

・セール品の値下がりを待っていたらしく、30%オフから50%オフにした途端、一気に売れた(九州・衣料品専門店)

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 〈景気ウオッチャー調査〉景気に敏感な職業に従事する調査員に景況感を尋ね、内閣府が集計する。2050人の調査員は毎月25日から月末にかけて、現在の景況感と2〜3カ月後の見通しについて5段階で判断する。

 6営業日後には調査結果を発表する速報性が特徴。「景気の予告信号」として、調査結果を重視するエコノミストも多い。旧経済企画庁の長官だった堺屋太一氏が発案し、00年に開始した。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/business/update/0208/TKY200802080456.html