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2008年02月09日(土) 00時19分

北畑発言に市場から批判 「投資家軽視」「投機も必要」朝日新聞

 経済産業省の北畑隆生事務次官が、個人投資家のデイトレーダーを「バカで浮気で無責任」などと発言したことについて、株式市場の関係者に失望が広がっている。国土交通省の空港施設会社への外資規制の動きに続く「投資家を遠ざけるメッセージ」に、市場からは「日本株に買い材料はない」(大手証券)との悲鳴も聞こえる。

 「個人投資家を軽視している」。東京証券取引所の斉藤惇社長は、北畑次官の発言について記者団から問われ、不快感を隠さなかった。「貯蓄から投資へ」を掲げる政府の高官の発言に「ああいう(次官という)立場で言うのはどうか。問題はあると思う」と語った。

 証券業界からも反発の声が上がる。大手ネット証券を傘下に持つSBIホールディングスの北尾吉孝・最高経営責任者(CEO)は「投資には独自の方法があっていい。これがいい、あれが悪いと区別するのは間違っている。長期保有ばかりでは相場にならない。投資と投機のどちらも市場には必要だ」と反論する。

 個人投資家はただでさえ市場から離れている。日経平均株価の8日の終値は前日比189円91銭安い1万3017円24銭。年初から2000円以上も下げた。損を抱えた個人投資家の多くは株を売り、東証など3市場の売買高に占める個人投資家の比率は、1月は19.7%で、前年同月より10ポイントも下がった。

 一方、外国人投資家の比率は69.2%と同12.1ポイント増え、市場を支えてきた。だが、企業の相次ぐ買収防衛策の導入で「日本は難しい市場というイメージが定着している」(外資系証券幹部)といい、外国人も年初から5週連続で売り越している。

 株価は「割安な水準まで下がった」との見方も多いが「政府の改革機運は後退し、有効な景気対策も期待できず、株価反発の要素が見えにくい」(大手証券)と、悲観的な見方が増えている。

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