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2008年02月08日(金) 02時30分

<北朝鮮>将軍様の資金着服 高級幹部を更迭毎日新聞

 【北京・西岡省二】北朝鮮の最高指導者、金正日(キムジョンイル)総書記の資金管理部署「朝鮮労働党39号室」傘下組織の高級幹部が約140万ドル(約1億5000万円)を着服したとして、昨秋更迭されていたことが7日分かった。北朝鮮政権に近い関係者が明らかにした。米国によって凍結されていたマカオの銀行「バンコ・デルタ・アジア(BDA)」にあった資金を流用したことなどが原因とみられる。 

 北朝鮮では最近、腐敗幹部の処分が相次いでおり、対外関係改善に伴う外資流入に備えて国内の引き締めを図っている模様だ。

 更迭されたのは39号室の対外取引を担当する「朝鮮大聖(テソン)総局」の総局長。関係者によると、総局長は、総局の活動資金を横領したり、海外駐在員らから資金提供を受け取るなどの方法で着服した。

 同総局長は、BDAにあった39号室関係の資金管理を担当。同銀行に自己の預金口座も開設していたという。資金管理のため頻繁に妻をマカオに渡航させていたことが北朝鮮当局の目に留まり、調査の結果、着服が発覚した模様だ。

 同総局長は党内有力者で金総書記とも面会できる立場にある高級幹部。同総局には傘下に貿易会社など11の企業があり、外貨獲得を担当している。関係者は「将軍様(金総書記)に直結する資金を横領するというのは想像を絶する行為だ」と指摘した。

 このほか、韓国との経済協力事業を総括する「民族経済協力連合会」(民経連)の交流局長も今月、処分を受けたとされる。韓国側との折衝で容易に妥協したり、情報を漏らした疑いを持たれた。また、国内の災害保険を取り扱う「対外保険総局」の幹部や、経済関係の局長級幹部4〜5人が更迭などの処分を受けたとみられる。

 同関係者は「(北)朝鮮は改革開放路線は取らないと宣言しているが、外資導入を進めれば、やむを得ず市場経済的な要素が入ってくる。党指導部は事前の内部引き締めの必要性を痛感している」と分析している。

 【朝鮮労働党39号室】 金正日総書記が権力基盤固めのため1974年に創設した総書記直属の外貨獲得機関。「39」は党の「3号庁舎」の「9号室」を意味するとされる。国内の金・銀・亜鉛の鉱山・製錬所などの管理を独占する一方、水産物やマツタケの輸出なども手がけ「北朝鮮の巨大な独占財閥」(韓国情報筋)と言われる。

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