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2008年02月08日(金) 00時00分

日弁連会長に大阪弁護士会の宮崎誠氏朝日新聞

 日本弁護士連合会(約2万5000人)の会長選が8日投開票され、司法制度改革推進派の宮崎誠氏(63)=大阪弁護士会=が反対派の高山俊吉氏(67)=東京弁護士会=を抑えて当選した。仮集計で宮崎氏が9402票(得票率約56%)、高山氏が7043票(同42%)、投票率は66.52%だった。任期は4月から2年。宮崎氏は09年春に裁判員制度が始まる時の会長となる。

日弁連会長に決まった宮崎誠氏

 選挙戦で宮崎氏は従来の司法制度改革推進の路線を継承するとしつつ、司法試験合格者を2010年までに年間3000人にするという政府の法曹人口の増員計画については見直しを求める方針を示した。改革反対派の高山氏もかなりの票を集めたと言え、今後のかじ取りは難しそうだ。15日の選挙管理委員会で当選者が最終確定する。

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 09年春に始まる裁判員制度など司法制度改革総仕上げの2年を担う弁護士トップの座を、逆風の中で、現在の執行部路線の候補が死守した。日本弁護士連合会の新会長になるのは宮崎誠氏(63)。弁護士を含む法曹人口増員計画の「ひずみ」を見直しつつ改革の理念を貫くという、かつてない難題が待っている。

 「『法曹人口が急拡大するなかで、弁護士のニーズは拡大していない』という会員の不満が表れたことは謙虚に受け止めたい」。8日夜、大阪市内で当選後の記者会見に臨んだ宮崎氏は増員計画を見直すよう政府に求めていくと明言した。

 増員による弁護士の「質の低下」や「過当競争」の懸念をどう解消するか。現在の執行部が、司法試験合格者を2010年までに年間3千人にするという政府計画に歩調を合わせる中、今回の会長選はこの課題を最大の焦点として始まった。

 しかし、選挙戦のさなかに、法務省が政府計画の再検討を表明。増員反対の高山俊吉氏(67)に対し、計画の「スローダウン」を口にしていた宮崎氏も見直しの立場を鮮明にし、対立軸ははっきりしなくなった。

 宮崎氏は会長就任とともに検討組織をつくり、9月の新司法試験の合格発表までに増員ペースを見直すことを明言。任期中に適正な合格者数に導くとしている。

 こうした見直し路線に対し、司法制度改革を進めてきた立場からの反発も強い。ある弁護士は「市民に身近な司法という理念は、弁護士が増えてこそ実現できる。選挙のためにハシゴを外したようなもので、考え直してもらいたい」と迫る。

 開票結果(仮集計)をみると全国52の弁護士会のうち、長野県、仙台、岩手、函館、横浜、埼玉、千葉県、栃木県、群馬、札幌など13カ所で高山氏の票が上回った。

 高山氏は連続5回の挑戦で、過去最多の票を集めた。「弁護士激増路線や裁判員制度、今の憲法状況への執行部のあいまいな態度への批判票が結集された。無視できない数字で、宮崎氏がどう応えていくかが問われる」と話した。

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200802080057.html