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2008年02月08日(金) 17時08分

心臓裏にガーゼ8年放置、摘出後に死亡 つくばの病院朝日新聞

 茨城県つくば市の「筑波メディカルセンター病院」(石川詔雄院長、409床)で行われた心臓手術の際、医師が患者の心臓の裏にガーゼを置き忘れ、8年8カ月後の再手術で取り出していたことがわかった。ガーゼは心臓に癒着していたといい、患者は再手術から約3年後に心機能が低下して死亡。ガーゼと死亡との因果関係を一部認めた病院側は、遺族に慰謝料などを支払うことで昨年示談したが、遺族によると、再発防止のため遺族が求めた「事故の公表」をしていないという。

 関係者によると、手術を受けたのは当時70代だった女性。同病院で92年6月、心臓の冠動脈バイパス手術を受けた。その後も入退院を繰り返した女性は、99年に症状が悪化。検査の結果、心臓裏にある腫瘤(しゅりゅう)が心臓を圧迫し、増大傾向にあったため01年2月、再手術した。この時取り出した腫瘤の中から29センチ四方のガーゼ1枚が見つかったという。その後、心機能が低下した女性は04年1月に急性心肺停止で亡くなった。

 こうした経緯について病院側は「患者様に長期間にわたり結果的に精神的、肉体的苦痛を与えたことに心からおわび申し上げる」と話した。再発防止策として、病院は手術室内でガーゼの枚数を2人で確認するようにし、X線撮影に写るガーゼを導入したという。

 また、事故を公表していない理由を病院側は「ご家族からの求めがなく、示談も成立したから」としているが、遺族は「示談交渉では再発防止などのため、病院側に記者会見での公表をお願いしていた。ガーゼによる生前の後遺症も明確に認められず、納得がいかない」と言っている。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/national/update/0208/TKY200802080325.html