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2008年02月06日(水) 00時00分

ユーザーの知を生かしたい読売新聞

 学生時代からユーザーによる発信情報の力を目の当たりにしてきた羽野仁彦さんは、リクルート入社5年目で同社が設立した新会社・ブログウォッチャー社長に就任した。目指す先を聞いた。

東工大と産学連携

羽野仁彦  はの・よしひこ
ブログウォッチャー社長
 1979年、大阪府枚方市生まれ。京都大学大学院機械物理専攻修士課程修了。2003年にリクルート入社。リクルートの独自技術による地域情報検索エンジン「ドコイク?」、雑誌感覚で行きたい場所を探せる地図サイト「スゴイ地図」を主任設計者として開発した。スゴイ地図は2007年度グッドデザイン賞を受賞。2007年4月からブログウォッチャー代表取締役社長。
——ブログウォッチャーはどんな会社ですか

羽野私が勤務していたリクルートが昨年4月に、東京工業大学の奥村学准教授らと共同で設立した会社です。奥村さんは、ブログの文章を分析し、筆者の意図を抽出する研究をしていました。これを事業に結びつけようと主張した私が、社長を任されました。

 リクルートはもともと企業が発信する情報を取り扱うのが得意な会社です。一方、これから重要になると考えられるユーザー発信情報に関してはあまり取り組んだことがなかったので、出資先を探していたのです。社員や業務委託先を合わせて20人のメンバーで運営しています。

——事業の内容を教えてください

羽野ネット上からユーザーの体験情報を収集して分析し、製品やサービスと結び付けてビジネス化したいと考えています。企業が公表する商品情報とユーザー発信情報が結びつけば、購入を検討している人の参考になります。商品の売り手にとっても、顧客の反応を探るツールとして有用です。

 奥村さんの研究は、ブログに書かれた体験談が、ある商品に対して好意的か否かも推定できます。商品に対応する口コミ情報を抽出して企業向けに提供する業務はすでに走り出しています。

——運営されているSHOOTI(シューティ、http://shooti.jp/)はどんなサイトですか

羽野私たちの技術を生かしたモデルサービスと位置づけています。商品を入力するとブログから評判(口コミ)を探し出せる検索機能などが備わっています。

——トップページで紹介している「イケてるトピックス」「イケてるブログ」も自動抽出ですか

羽野いいえ、これは、編集者が手作業で選んでいます。コンテンツとして人が選んだものを出そうと思いました。それに加え、人が選んだものをコンピューターも選ぶかどうかを検証する実験台としての役目も果たしています。まもなく、人が読んで価値があるブログを、コンピューターが自動で選別する技術をお披露目できると思います。「ユーザーの体験談に基づく知恵の活用」といえばブログウォッチャー。そんなふうに思ってもらえるような活動をしたいと考えています。

http://www.yomiuri.co.jp/net/interview/20080206nt07.htm