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2008年02月06日(水) 08時01分

参院宿舎 建て替えも「NO」 地区計画変更を千代田区拒否産経新聞

 東京都千代田区紀尾井町の参院清水谷議員宿舎建て替えをめぐり、国が現在地での建て替えを念頭に、千代田区に地区計画の変更を打診したところ、拒否されていたことが5日、分かった。国は当初、近隣の国有地への移転・新築を計画していたが、森林の伐採が必要となるため、都が自然破壊を伴わない現在地での建て替えを求めていた。都と区の双方から「NO」を突き付けられ、宿舎新築は八方塞がりの状況となってきた。

 関係者によると、区の地区計画で宿舎前の通りに面する一帯は「1、2階部分を文化交流・商業施設とする」と規定されており、現在地で建て替える場合、地区計画に従う必要がある。

 国の計画では新宿舎は1階からすべて住居部分で占められるため、国は昨年末に建築に絡む例外規定の適用を区に打診。区が許可しなかったことで、改めて地区計画そのものの変更の可否を尋ねた。これに対し、区は特定の案件についての要望で規定を変更することは不可能と回答した。

 区の回答を受けて国は1月24日付で、都に区の回答を照会したうえで、今後の見解を求める文書を送付。都は「(区に)指導する立場にはない」として態度を保留している。

 参院清水谷宿舎の移転予定地は都の風致地区で、高さ15メートルを超える高層建築は原則、都条例で禁じられている。建築には都の許可が必要となるが、昨年9月に現地を視察した石原慎太郎都知事は「予定地にある森林をつぶすのは反対。衆院の赤坂宿舎が空いているのだから、議員はそこに住めばいい」と提案。公明党の太田昭宏代表も「建て替えをいったん凍結し、赤坂宿舎を衆参で共有したらどうか」と発言していた。

 さらに、自民党の笹川堯衆院議院運営委員長は、衆院の九段宿舎を取り壊して跡地に衆参合同宿舎を建設し、清水谷宿舎の建て替えを凍結するか規模を大幅縮小する案を示していた。

 建て替え関連経費として新年度予算案に約7億2100万円が計上されているが、着工のメドは立っていない。参院ではプロジェクトチーム(西岡武夫座長)が善後策を協議している。

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【用語解説】参院宿舎建て替え問題

 昭和44年完成の参院清水谷議員宿舎が老朽化したため、国は近くの国有地(約4500平方メートル)に新宿舎を建設する計画を進めていた。当初計画では総事業費約44億円、16階建て、地上56メートルで80室を予定。昨年7月の着工を目指していたが、予定地の樹木伐採に周辺住民が反発し延期に。石原知事も建設反対の考えを示し宙に浮いている。

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