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2008年02月06日(水) 17時46分

中国製・冷凍食品離れ ギョーザ中毒事件公表から1週間朝日新聞

 中国製冷凍ギョーザを食べた3家族10人に中毒症状が出たことが公表されてから6日で1週間がたった。有機リン系農薬成分「メタミドホス」による中毒被害者のうち5人は入院が続き、事件としての捜査も進んでいる。スーパーの店頭やレストランなどで波紋が広がるなか、5日には新たに農薬成分「ジクロルボス」が同じ商品から検出されたと公表され、事態はなお収まりをみせていない。

 「メーカーによる自主回収の対象外にまで、返品が広がっている」。食品卸会社「北陸中央食品」(富山県)の担当者は不安を隠さない。取引先の一部は、中国製造の商品を店頭から外し始めた。3日の日曜、取引先スーパーの冷凍食品の売り上げは特売日にもかかわらず、通常の半分にまで落ち込んだと聞いた。

 「代替品を探して欲しい」。そんな注文に応えようと営業担当が走り回っても、特に冷凍野菜類の大半は中国に依存しているのが現実。「売り上げが落ち、死活問題だ」

 北陸地方の別の卸会社も、取引先からこう言われた。「メード・イン・チャイナ(中国製)はすべて引きあげてくれ」。担当者は嘆く。「JT(日本たばこ産業)1社の問題ではない。冷食業界全体にとって大きな痛手。日中両国にとっていいことは一つもない」

 業界団体の「日本冷凍食品協会」(東京都中央区)には4日までに744件の相談や意見が電話で寄せられた。うち、605件は手持ちの商品についての問い合わせ。自主回収対象商品の返品方法を聞く声だけでなく、「回収対象外の商品だが安全か」との内容もあった。

 大阪府と兵庫県に52店を構える「関西スーパーマーケット」(兵庫県伊丹市)では、1月31日と今月1日の冷凍食品の売り上げは前週に比べ約36%減。冷凍ギョーザに限ると6割以上も落ち込んだ。

 「冷凍離れ」が進む一方で、手作りギョーザは人気を呼んでいる。大阪市に本社がある大手スーパー「ライフ」の近畿圏109店舗では、ギョーザの皮の売り上げが1日からの4日間、前年同時期より約30%増えた。

 ただし、冷凍食品の売り上げは前年同時期の27%減(1月31日、今月1日)。「ギョーザの皮だけでは到底、落ち込みをカバーできない」。担当者は複雑な心境だ。

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