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2008年02月05日(火) 00時00分

静岡市、消費者金融への過払い金20件差し押さえ読売新聞

2606万円を市税滞納に充当

 市税滞納者が利息制限法の上限金利を超えて消費者金融6社に支払った過払い金20件の約2606万円を、静岡市が差し押さえていたことが4日、わかった。これから回収する過払い金は、市税滞納20件の計約1856万円に充てる。同市は「逃げ得は許さない」と強い姿勢をみせている。

 消費者金融が利息制限法の上限より高い金利で融資する「グレーゾーン金利」を事実上認めないという2006年1月の最高裁判決などを受け、同市は、市税滞納者が支払った過払い金の返還請求権の差し押さえについて検討した。

 差し押さえた過払い金は、年5%の利率をつけ、消費者金融から回収し、一部を市税滞納に充て、残りは滞納者本人に返還する。

 同市は昨年10月、住民税を滞納していた60歳代の男性など4人について、過払い金の差し押さえに初めて踏み切った。

 この男性は、02年からの6年で住民税55万円を滞納している。男性は「借金の返済で、税金を払う余裕がない」と話しているという。市による本人への聞き取り調査や、消費者金融への取引状況の開示請求により、消費者金融からの借金が約20年間続き、590万円の過払い金が判明した。

 この4件について消費者金融1社から市の処分に対する異議申し立てがあったが、同市は昨年12月に却下した。現時点で消費者金融からの回収はないが、別の1社が2月中に返還する意向を示しているという。消費者金融が返還に応じない場合、市は取り立て訴訟に踏み切る考えだ。

 市税滞納者は預金調査をしても残額は1、2万円ほどだが、消費者金融への過払い金がある場合も少なくなく、市収納対策課は「隠れた財産が出てきたようなもの。権利を主張して差し押さえないと、もったいない」と話す。今後も市税滞納者の過払い金の差し押さえを進める考えだ。

 同市の市税滞納者は3万8210人(06年度決算)で、滞納額は76億7788万円。国民健康保険料などを合わせると滞納額は約157億円にも上り、同市では4月に債権管理対策課が新設される。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shizuoka/news/20080204-OYT8T00709.htm