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2008年02月05日(火) 21時19分

<中国製ギョーザ>職員が異常に気づく…仕分け中に消毒臭毎日新聞

 中国製冷凍ギョーザの毒劇物汚染はさらに広まった。中毒事件発覚から6日で1週間。日本生活協同組合連合会(東京都渋谷区)が回収した「CO・OP手作り餃子(ぎょうざ)」から、今度は有機リン系殺虫剤「ジクロルボス」が検出された。千葉、兵庫両県、大阪府で見つかった9袋の内外に付着した有機リン系殺虫剤「メタミドホス」とは異なる毒物で、製造日も異なる。職員は昨年11月上旬、既に異常に気づき販売元の生協に届け出ていた。【今井美津子、長野宏美】

 コープあいづから日本生協協同組合連合会(生協連)に連絡が入ったのは昨年11月10日。コープあいづは全店から、昨年6月3日製造の同じ商品を回収。昨年11月20日、トルエンなどが検出されたが毒劇物は確認されなかった。今年1月に中毒事件が発覚し、改めて検査し、ジクロルボスが検出された。

 ところが、昨年10月5日、コープ東北サンネット事業連合みやぎ生協富谷生鮮セットセンター(宮城県富谷町)に、商品を仕分け中のパート女性から「今までかいだことのない異臭がする」と報告があった。消毒液のようなにおいがし「工事でもしているのか」と思ったという。段ボール箱の底に1〜1.5センチくらいの丸いしみがありぬれていた。外側にはしみはなかった。異臭のある5袋を不良品として処理。「流通過程での汚れなどの外的要因」と判断した。さらに昨年10月31日にもみやぎ生協組合員が異臭に気づいている。

 センターは「中国で梱包(こんぽう)され、日本生協連などを経由して届く。抜き打ちでチェックすることがあるかもしれないが、通常は途中で開けられることはないと思う」と話した。

 「新たな農薬が出るとは青天のへきれき。昨年11月に異臭に気づいた時点で販売を取りやめており、対応に問題はなかったと思う」。コープあいづ(福島県喜多方市)の佐藤孝夫商品部長は話した。ジクロルボスの検出については「日本生協連の調査結果をもらうだけなので、なぜ新たな農薬が出たか経緯は不明」と話した。

 一方、検出されたコープあいづぷらざではこの日も通常通り営業した。男性店長は「本部の許可なく取材に応じられない」と当惑気味だった。

 ◇過去にしばしば国内で検出例 ジクロルボス

 中国からの輸入品をはじめ、国内産品でも過去にはしばしばジクロルボス(DDVP)が検出されている。

 02年8月、関西空港に輸入された中国・雲南省産マツタケから残留基準の28倍にあたる2.8ppm(1ppmは100万分の1)が検出され、百貨店やスーパーが取引を停止する騒ぎになった。輸入商社の役員が現地調査したところ、一時保管の倉庫で他の野菜も一緒に保管されるなど輸送管理のずさんさが明らかになった。

 07年1月以降では、検疫所での輸入食品の検査で検出されたケースは4件あり、いずれも生鮮カカオ豆。濃度は最大0.04ppmで、残留基準(0.5ppm)以下だった。

 国内産品でも、山形県内で販売された食用ギク(04年)▽津市の農家が出荷したシュンギク(06年)▽群馬県太田市のJA新田郡が出荷したホウレンソウ(08年)−−から基準を超すジクロルボスが検出されている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080205-00000139-mai-soci