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2008年02月05日(火) 21時10分

毒ギョーザ問題 欧米で大雪被害報道にかすむ産経新聞

 中国製ギョーザ中毒事件事件は欧米ではどう伝えられているのか。食品をはじめとする中国製品の安全性への疑問が一段と強まったなどと報じられてはいるものの、春節(旧正月)の帰省客の足を直撃した中国東、南部の大雪被害をめぐる報道の影に隠れてしまっている。欧米メディアは大雪の問題を、北京五輪を控えた中国の交通インフラのもろさや同国政府の危機管理能力の低さといった観点から盛んに取り上げている。(岩田智雄、佐藤貴生)

 米紙ウォールストリート・ジャーナル・アジア版は、中毒事件を初報道した1月31日付では事実関係を5行で伝えただけで、2月1日付中面で、日本での中国食品への印象がさらに傷ついたと指摘するにとどまり、詳しい分析はしていない。

 米紙ニューヨーク・タイムズ発行の国際紙、インターナショナル・ヘラルド・トリビューン(アジア版)も2日付1面で事件の概要を比較的詳しく伝えたのみである。

 対照的に大雪被害については両紙とも大々的に伝え、経済への影響を懸念する記事などを連日のように載せている。

 同紙は「雪対策での中国政府の教訓」の見出しで、中国は宇宙飛行士を送り出し、五輪を開催しようとするほど発展しているのに危機管理への準備が欠けているとした。

 さらに「政府の失敗が大きい場合、自由に批判できるメディアは中国にはない」と言論の自由の抑圧状況にまで言及し、被害が長く報道されず危機として扱われなかった点に、中国の独裁的な政治体制の問題をみてとれると批判している。

 一方、中国製ギョーザ中毒事件は欧米では、1月30日にロイター通信やフランス通信(AFP)が東京発で第一報を伝えており、歯磨き粉や玩具(がんぐ)に続いて「中国製品の安全性」に注目する姿勢が目立つ。

 1月31日付英紙ガーディアン(電子版)は北京五輪を念頭に「事件は中国政府の食の安全への取り組みに疑問を投げかけさせる」と評した。またロイターは2月4日、胡錦濤国家主席の訪日を今春に控え、「双方とも影響の拡大を最小限にとどめようと懸命になっている」と分析した。

 日本でも食料品の賞味期限などの偽装が相次いだことを踏まえ、「日本も自らの問題を抱えている」(英BBC放送)との厳しい指摘もある。

 ただ、欧州でも、中国報道は大雪被害に集中しており、ひとつには国際経済への影響の大きさを考慮したものだろう。

 4日付英紙デーリー・テレグラフ(同)は、穀物や野菜の収穫に破滅的打撃を与えるだろうという中国政府の経済専門家の談話を引用して、今回の大雪被害を伝えた。

 英紙フィナンシャル・タイムズ(同)は、大雪が引き起こした電力危機は、政府がエネルギーなどの価格を低く抑えてきたツケだとの見方を示した。半面、AFP通信は4日、降雪の影響はいずれ収束、電力や石炭輸送などの部門への投資が活発化する−との国内外のエコノミストの楽観的な見通しも紹介している。

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