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2008年02月05日(火) 21時09分

<中国製ギョーザ>1袋から別の有機リン系殺虫剤を検出毎日新聞

 中国製冷凍ギョーザによる中毒事件で、日本生活協同組合連合会(東京都渋谷区)は5日、中国「天洋食品」が製造した冷凍ギョーザ「CO・OP手作り餃子」(07年6月3日製)1袋から新たに有機リン系殺虫剤「ジクロルボス」を検出したと発表した。一連の事件で「メタミドホス」以外の殺虫剤が検出されたのは初めて。

 メタミドホス中毒を出した千葉県の同商品(同10月20日製)と兵庫県高砂市の「中華deごちそう ひとくち餃子」(同10月1日)と製造日も異なっており、天洋食品の工場内の袋詰めの段階で複数の殺虫剤が混入した可能性が強まった。

 厚生労働省は、都道府県などに対し、ジクロルボスについても健康被害を調査するよう指示する。

 同連合会によると、昨年11月10日、福島県喜多方市の「コープあいづぷらざ」の職員から「オイルのようなにおいがきつくて食べられない」との苦情が同連合会に寄せられた。今回の中毒事件を受けて、この商品を検査したところ、ギョーザの皮から110ppm、具材から0.42ppmのジクロルボスを検出した。

 苦情が出た11月当時にも袋の検査を実施し、トルエン、キシレン、ベンゼンを検出していたが、内容物の検査はしていなかった。

 同じ昨年6月3日製の手作り餃子を巡っては、同10月5日にも、宮城県富谷(とみや)町の「みやぎ生協富谷生鮮セットセンター」で5袋の外側に異臭があったと同連合会に連絡があった。同31日にも、みやぎ生協の組合員から「焼いて食べようとしたら薬品のような味がした」との苦情があったと連絡があったという。

 この時点でも輸入元の「ジェイティフーズ」(品川区)が天洋食品を訪問し、問題の製造日の製造記録やサンプルを調査したが異常はなかった。また、東北だけの苦情で、1件のクレームの際、「段ボールに油染みがあった」との情報があったことから、流通経路での外的要因とみて調査を終了していた。

 同連合会によると、天洋食品にはジクロルボスを購入・使用した記録がないという。

 6月3日製手作り餃子は、736ケース(1ケースは12袋入り)が輸入された。6月15日に川崎港に到着し生協に納品された。地域別では、▽東北111ケース▽首都圏207ケース▽東海25ケース▽中国・四国4ケース▽九州388ケース▽廃棄1ケース−−で、北海道・近畿を除く全国各地のコープに配送されている。

 ▽ジクロルボス 有機リン系殺虫剤の一種。茶殺虫剤として広く使用され、薬事法の劇薬、毒劇物取締法の劇物に指定されている。ヒトに吸収されても通常はほとんど排せつされる。ジクロルボスの殺虫剤を体重1キロあたり6〜12ミリグラムを飲んだ患者には、重度の貧血による衰弱、神経への影響が報告されている。

 中国では「敵敵畏」の名前で知られ、即効性の高い農業用有機リン系殺虫剤として、野菜やタバコの葉など作物の害虫駆除に使われている。日本の食品衛生法上の残留農薬基準は1グラムあたり0.1〜0.5マイクログラム。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080205-00000137-mai-soci