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2008年02月03日(日) 06時01分

毒ギョーザ問題「生産過程に問題なし」!中国当局真相包み隠しスポーツ報知

 中国製ギョーザによる中毒問題で2日、問題のギョーザを製造した河北省の「天洋食品」の底夢路工場長らが事件発覚後、初めて会見し「日本の消費者にお見舞いを申し上げ、患者の早期回復を心から願う」と話した。一方で、同省の輸出食品の安全を管理する同省輸出入検査検疫局の程方局長は、原料や生産過程で「問題は見つからなかった」と発表。工場では、中毒の原因となった有機リン系殺虫剤「メタミドホス」を使用していなかったとしており、調査は難航が予想される。

 中国の現地当局が、工場の生産段階で「問題がなかった」と明言したことで、ギョーザに殺虫剤「メタミドホス」が混入した手掛かりを依然つかめていないことが浮き彫りになった。

 輸出食品の安全管理のトップである程局長によると、工場の生産と加工、管理にかかわる職員30人を調査したが、不審な点はなかったという。

 また検疫当局は中毒発覚後、天洋食品の工場で問題を起こしたギョーザと同じ日付の昨年10月1日と20日の前後、一定期間に製造されたギョーザ製品のサンプルや包装袋の検査を行ってきたが、「メタミドホス」は検出されなかった。工場では、昨年2月から今年1月まで計24回の品質検査を実施しているが、問題はなかったという。

 ただ、日本に輸出されたギョーザ製品に「メタミドホス」が混入した経緯については、程局長も「われわれも関心を持っている」とした上で、「日中両国の(調査)協力を期待している」と述べた。

 現地警察当局は、故意または過失による混入の可能性があるとみて捜査しているもようだ。

 中毒発覚後初めて会見した天洋食品の底工場長も、工場内の安全管理体制に問題がなかったことを強調。製品の輸送はコンテナを鉛で封印して出す「ドアツードア」方式で、中国国内の輸送過程で汚染される可能性はないと述べた。

 中毒の原因究明のため、中国政府の検疫当局代表らによる調査チームが3日以降来日し、厚労省、農水省の担当者らと共同調査をする。

 また、天洋食品の元従業員2人が2日、匿名で共同通信の取材に応じた。2人は工場の衛生管理が厳重だったとする一方、施設内にはネズミがいるため、「ネズミ捕り用粘着テープが床に張られていた。テープの上に毒餌(殺そ剤)を置くタイプだった」と証言したが、「メタミドホスは見ていない」と話した。

 現在、事務職員を除く工場従業員は全員、原因調査とマスコミ対策のため宿舎に缶詰め状態にされ、外出禁止になっているという。

 取材に応じた2人は、半年前に辞めた男性(19)と2年前に辞めた女性(46)。ともに工場の近所の住民で、男性の姉は今も同社に勤務している。

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20080203-OHT1T00091.htm