記事登録
2008年02月02日(土) 15時01分

「客戻ってきたのに」=中国ギョーザで風評懸念−BSE打撃の牛タン業界・仙台時事通信

 「努力してやっと客が戻ってきたのに」。中国製冷凍ギョーザ中毒事件の余波を受け、牛タン料理が名物の仙台市で、土産用など牛タン加工品の一部が自主回収される事態となった。牛タン焼きやほとんどの加工品は無関係だが、BSE(牛海綿状脳症)問題のダメージが残る業界からは「マイナスイメージで、一時的に売り上げに影響が出る」と懸念する声も出ている。
 同市の食肉加工業ジオラは、問題の冷凍ギョーザを製造した中国の天洋食品が加工した原材料を使っていたことから、「特選金印牛たん」など10品目の自主回収を決めた。
 2003年末に米国でBSE問題が発覚した後、同社は輸入原材料の価格高騰に苦しみ、安い中国産を導入。それだけに担当者は「残念。食品は難しい」と肩を落とす。今後は、仕入れ値のより高い豪州産に切り替える方針だ。「国産は(もっと高くて)値段に跳ね返る。輸入品に頼らざるを得ない」。
 JR仙台駅の駅ビルの土産品店では、回収商品の販売中止を知らせる紙が張り出された。同店マネジャーによると、BSE問題を境に1日当たり数十万円あった牛タン製品の売り上げは激減し、今も完全には回復していない。「客は食の安全に敏感になっている」と影響を心配する。
 BSE問題では一時、牛タン料理店の閉店も相次いだ。必死の経営努力で客離れに対応してきた店も多い。16社が加盟する「仙台牛たん振興会」の大川原潔会長は、加盟店で提供する牛タン焼きについて「9割は豪州産」と強調。「加工品とひとくくりに報道されては困る」と風評被害を懸念している。 

【関連写真】 〔写真ニュース〕回収された冷凍食品を調べる従業員
【関連記事】 【時事ワード解説】BSE
【関連記事】 千葉市保健所が検査断る=被害女性のギョーザ受け取らず
【関連記事】 異なるコンテナ、港で陸揚げ=被害出した2種、経路特定急ぐ-ギョーザ中毒
【関連記事】 保健所への相談450人に=ギョーザ中毒問題、24都道府県に拡大-厚生労働省

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080202-00000064-jij-soci