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2008年02月02日(土) 13時02分

中国製ギョーザ中毒事件で揺れるコープブランド産経新聞

 「信頼を損なう結果になった」−。中国製ギョーザ中毒事件で、“安全性”を前面に消費者の信頼を得てきた生協ブランドが揺れている。問題のギョーザが札幌から沖縄まで多くの生協で扱われていたことから、各生協には組合員からの問い合わせが殺到。昨年起きた北海道の「ミートホープ」による食肉偽装事件以降、検査態勢をより強化していただけに動揺は大きく、関係者は「どこまでやれば安全と言えるのか」と困惑している。

 問題のギョーザは、全国の地域生協などが加盟する「日本生活協同組合連合会」(東京都)がジェイティフーズに製造委託し、「CO・OP」ブランドとして販売していた。納入先は全国39の会員生協などで、数量は約63万9000袋に上る。

 問題のギョーザを販売していた大阪よどがわ市民生協(大阪府吹田市)では、消費者窓口への問い合わせ電話が事件が明らかになった30日夕方以降400件を超え、前日の約8倍に。担当者は「結果的に信頼を裏切る形になってしまった。検査態勢は強化されているんですが…」と苦渋の表情を浮かべる。

 同生協に昨年3月から今年1月末までに納品された108袋のうち、実際に販売されたのは91袋。今月1日までに46袋の購入先を特定できたが、健康被害などは確認されなかった。担当者は「今後も回収作業や組合員への対応に全力を注いでいくが、信頼してくれていた人にはおわびの言葉もない」と話す。
 34万5000人の会員を持つ大阪いずみ市民生協(堺市)では、組合員からの問い合わせが1日約2000件に。問題のギョーザの取り扱いはなかったが、ジェイティフーズが自主回収を決めた商品を扱っていた。

 同生協はミートホープ事件を受け、牛肉や豚肉などの遺伝子分析ができる機器を独自で購入。高いレベルでの残留農薬の検査も行っており、「不測の事態を水際で防ぐように努力はしているが、これで完璧(かんぺき)、とはいえない」と検査の難しさを訴える。

 日本生協連によると、売り上げに「CO・OP」ブランドが占める割合は3分の2以上。中国産は原材料も含めると「どれだけあるかわからない」(関係者)といい、「中国製品を排除すると、商品自体が成り立たない」と打ち明ける。

 国内最大規模の「コープこうべ」(神戸市)の担当者は「残留農薬の何万倍の農薬が入っているなど、従来では考えられなかった」とした上で、「今回のことを教訓に検査態勢をより強化し、消費者の信頼に応えたい」と話した。

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 生協は消費生活協同組合法に基づいて作られた組合組織で、組合員の出資金で運営されている。消費者の助け合いによって生活向上を目指すことが目的で、日本生協連には621の生協や連合組織が加盟。傘下組合員は2400万人に上るという。

 生協は着色料や合成保存料といった食品添加物に対する不安の声が高まり始めた昭和30年代後半ごろから、いちはやく無着色食品を販売するなど食の安全への取り組みを行ってきた。また、環境問題へ高い意識もあり、こうした動きが生協全体への信頼につながった経緯がある。

 ある生協関係者は「生協は『食への信頼』をてこに伸びてきた事業体だけに、今回の中毒事件は大きなダメージ。スーパーなど他の食品小売業も安全面に力を入れており、これまでのブランド力にあぐらをかいてはいられない。今後はこれまで以上にレベルの高い安全面での対応が求められる」と話している。

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