記事登録
2008年02月02日(土) 07時50分

【特報 追う】東北6県で121人健康被害訴え 中国製ギョーザ産経新聞

 3家族10人が被害に遭った中国製ギョーザ中毒事件は、事態が表面化した先月30日以降、「該当商品を食べて体調を崩した」などといった被害が全国から続々と報告され、食に対する不安がふくれあがっている。東北6県では、1日までに計85件121人の健康被害の訴えがあった。ただ、中毒の原因とみられている有機リン系の薬物を口にした人は確認されていないようだ。疑心がうずまくなか、該当商品は回収が進められている。6県の現状や対応状況をまとめた。

 宮城県富谷町あけの平の「みやぎ生協富谷生鮮セットセンター」にある蓄冷庫には、同生協が回収した「CO・OP手作り餃子」が、鉄柵の中に山積されていた。回収された商品は日本生協連の東北支所に一括して集められることになるが、処分方法は未定という。

 自主回収の動きは広がるばかりだ。仙台市内で牛タン専門店「べこ政宗」を運営するジオラは1日までに、中国製ギョーザによる中毒を受け、中国・河北省の「天洋食品」が加工した牛タンを原材料に使っている「牛たんのステーキ しお」など10商品の回収を始めた。商品は、宮城県内の「べこ政宗」店頭や量販店、駅構内の土産物店などのほか、神戸市など県外のデパートなどで販売したこともあるという。

 一方、各県に届けられた健康被害の訴えの中には、過度な不安を抱えて問い合わせたり、被害を訴えたりするケースも多く、実態調査には時間がかかりそうだ。

 青森県では、生協側の報告を受け、各保健所が戸別訪問を行い聞き取り調査しているが、中には一時健康被害を訴えながらも、訪問すると「実はそういう症状はなかった」などと話す人もいるという。

   ■宮城

 20件35人が健康被害を訴えたが、いずれも腹痛や軟便などで全員回復しており、県と仙台市は「今回の中毒との関連性は薄い」とみている。

 回収対象商品は計57カ所に3520ケースが流通し、回収が確認されたのは16ケース。ほとんどの商品は消費されているもようで、回収は困難とみられる。

   ■青森

 22件34人が健康被害を訴え、このうち9人が病院に通院したが、すでに回復。いずれも有機リン系中毒の症状はなく、関連は薄いとみられる。

 回収対象商品の県内流通量は、市販用が約2万9800袋、業務用が計10万2600袋流通し、市販用は約1820袋、業務用は129袋が回収された。業務用は、ほとんどがすでに消費されているという。

   ■岩手

 8件8人が健康被害を訴えたが、県保健衛生課は「当該商品を食べたら下痢をしたという話はあるが、因果関係は不明。現段階ではその商品が原因とは考えられにくい」としている。

 回収対象商品は、市販用、業務用あわせて7万9970袋が流通し、そのうち3529袋が回収された。

 遠野学校給食センターでは「柔らかく煮込んだロールキャベツ(トマト味)60グラム」を、昨年11月2日に中学校2校分140個、同16日に小学校9校分1490個使用していたが、健康被害の報告はなかった。

   ■秋田

 12件16人が健康被害を訴えたが、うち10件13人については問題商品との因果関係がないことが判明、残る2件3人については医師の診断を待っている。

 県は、回収対象商品の流通量は把握していないとしているが、「CO・OP手作り餃子(ぎようざ)」については、共同販売のみで、204世帯に209袋が流通、すべて回収された。19世帯がすでに食べていたが、健康被害はなかった。

 県学校給食会は1日、中国産食材の使用中止を決めた。

   ■山形

 10件13人が健康被害を訴えたが、このうち8件10人は因果関係がないことが判明、残る2件3人を確認しているが、県は「関連は薄い」とみているという。

 県は、回収対象商品の流通量は把握していないが、「中華deごちそう ひとくち餃子」と「CO・OP手作り餃子」については計約2万3000袋が流通しているという。

   ■福島

 13件15人が健康被害を訴えたが、このうち有機リン系中毒の症状がでた人はおらず、県は2、3日中に残った食材などの調査を行いたいとしている。

 回収対象商品は約1万3300袋が流通。回収量は県では把握していないという。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080202-00000046-san-l02