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2008年02月02日(土) 06時12分

ギョーザ中毒 回収商品の調査怠る 宮城県河北新報

 中国製ギョーザの中毒事件をめぐり、宮城県が自主回収となっている商品の使用状況を把握しないなど、対応の鈍さが目立っている。食の安全を脅かす全国的な関心事だけに、素早い情報収集と公表が求められる。県の危機管理能力が問われそうだ。

<HPで「注意」発覚翌日>
 県教委は、冷凍ギョーザ輸入元のジェイティフーズ(東京)などの自主回収商品について、学校給食での使用予定を各市町村教委に聞いたが、過去の給食で扱われたかどうかは問い合わせていなかった。
 実際、蔵王町の小中学校計8校に給食を提供している蔵王町学校給食共同調理場と小牛田中(美里町)は昨年、自主回収商品の「ロールキャベツ」を使用していた。

 調査しない理由について、県スポーツ健康課は「学校給食で健康被害が出れば、その都度、報告が来る。これまで報告はないので、被害はないのだろう。過去の使用状況を調べる必要はない」と話していた。
 ところが、文部科学省は1日、過去の使用状況を調査するよう都道府県に通知。県教委は慌てて各市町村教委に対し、使用状況を調べるよう指示した。
 同課は「県教委方針がどうであれ、文科省の指示があればやらざるを得ない」と言うが、対応が後手に回った格好だ。

 県保健福祉部も、病院、高齢者施設、保育所での自主回収商品の使用状況を把握できていない。「健康被害が出れば、報告するよう伝えている。施設数が多く、使用状況まで調べるのは不可能」(総務課)という。
 情報提供の遅れも目立つ。県のホームページ(HP)に中毒事件への注意を促す情報が出たのは、発覚翌日の1月31日。岩手県や仙台市は発覚した30日にHPで注意を呼び掛けた。
 県食と暮らしの安全推進課は「課のHPには発覚直後に掲載しており、問題はない」と説明している。


◎保健所に相談51件/20件は健康被害訴え

 中国製ギョーザによる中毒事件で、県内の保健所に問い合わせが相次ぎ、1日までに相談件数は51件に上った。回収対象食品を食べて不調を訴えるケースが相次ぎ、うち8件の計19人は、ジェイティフーズ(東京)が輸入したギョーザを食べて健康被害を申告した。問い合わせは今後も増えるとみられる。県は2、3の両日、保健所と支所計9カ所に臨時の相談窓口を設ける。

 51件のうち、冷凍ギョーザも含め、何らかの健康被害を訴えた相談は20件。問題のギョーザを食べたという19人は、仙台市が15人、石巻市が4人だった。
 昨年9月と11月、若林保健所管内の3人がジェイティフーズの「手作り餃子(ぎょうざ)」を食べた直後に嘔吐(おうと)した。石巻市の家族4人も1月29日から30日にかけて同じギョーザを食べ、下痢や腹痛を訴えた。

 ギョーザ以外では、名取市の女性と利府町の女性と男児が「豚肉のごぼう巻き」を食べて腹痛や吐き気、軟便の症状が出た。ジェイティフーズとは別の冷凍ギョーザを食べたという相談も多い。柴田町で1月、家族4人が冷凍ギョーザを食べて下痢や腹痛となり、急性胃腸炎と診断された。青葉保健所管内でも昨年12月、冷凍ギョーザを食べて下痢や発熱の症状が出たという。
 県は2、3の両日、午前9時から午後5時まで相談を受け付ける。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080202-00000002-khk-l04