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2008年02月02日(土) 20時06分

<中国製ギョーザ>冷凍食品全般 売り上げに影響出始める毎日新聞

 中国製冷凍ギョーザによる中毒事件を受け、スーパーなどの売り場で、冷凍食品全般の売り上げに影響が出始めている。冷凍食品業界は、すでに消費の低迷や原料値上げなどで経営環境が悪化しており、中毒事件による消費者離れが深刻化すれば、各社の商品戦略や業績に影響を及ぼす恐れがある。

 スーパー各社は、回収対象の天洋食品製冷凍食品をすでに撤去し終えている。しかし一部では、ギョーザの輸入元となったジェイティフーズが輸入した冷凍食品全般を回収対象ではないのに撤去する動きもある。回収対象外の12品目を撤去したいなげやは「ジェイティフーズ以外の冷凍商品で棚を埋めているが、中国製全般に消費者の不安が広がっており、冷凍食品の売り上げは落ちている」と話す。

 イトーヨーカ堂も冷凍食品の販売に「多少の影響が出ている」といい、回収対象ではない商品の返品を要求する客もいるという。スーパーにとって冷凍食品は、定価から3〜5割引きで販売する「特売」の目玉商品として使われることが多い。しかし、消費者離れが深刻化すれば、特売対象から外されるため、更に売り上げに影響しそうだ。

 一方、天洋食品との取引がない冷凍食品メーカーも自社製品の売り上げへの影響を懸念している。日本水産は中国製冷凍食品について、緊急の品質検査を始めた。同社の井原直人・取締役品質保証室長は「消費者の中国製品離れを心配しており、品質維持に万全を尽くす」といい、不安解消に懸命だ。

 また、ジェイティフーズの親会社であるJT(日本たばこ産業)と共同で加ト吉を買収予定の日清食品は、JTが回収した冷凍食品の検査に協力する方針を明らかにした。小売り現場などで過剰とも言える反応が広がる中で、「早期の原因究明が必要」(安藤宏基社長)との判断からだ。

 各社にとって、原料が豊富で生産コストも低い中国との取引は「必要不可欠」(大手食品幹部)で、製造拠点を他国へ変更することは現実的でない。メーカー各社は品質管理の体制強化などに取り組む姿勢だが、消費者の不安を解消するのは容易ではなさそうだ。【工藤昭久】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080202-00000085-mai-soci