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2008年02月01日(金) 03時01分

日中、捜査協力を本格化 条約承認急ぐ ギョーザ事件朝日新聞

 日中両政府は31日、中国製冷凍ギョーザによる薬物中毒事件の影響が全国に拡大していることを受け、本格的な原因究明に乗り出した。中国政府は冷凍ギョーザを製造した「天洋食品廠公司」を立ち入り検査し、警察当局も立件に向けた捜査を始めた。日本政府も中国側の要請を受け、捜査情報の提供など捜査協力を円滑に行うため、日中刑事共助条約の国会承認を急ぐよう検討を始めた。

冷凍ギョーザなどを製造した天洋食品の工場。トラックが積み下ろし作業をしていた=31日午前、中国河北省石家荘市で

立ち入り検査のため天洋食品の工場を訪れ、日本の報道陣の質問に答える河北省の検疫部門の幹部=31日午後、中国河北省石家荘市で

検査のため、天洋食品の工場に入る河北省の検疫部門の幹部(手前)=31日午後、中国河北省石家荘市で

冷凍ギョーザなどを製造した天洋食品の工場から、段ボール箱を運び出す中国の検疫当局者たち=31日午後、中国河北省石家荘市で

 高村外相は31日、来日中の何亜非・中国外務次官補と会談し、事件について「非常に残念だ。食の安全は日中両国民にとって極めて重要な問題で、原因を徹底的に究明して欲しい」と遺憾の意を表明。さらに「中国側と協力して二度とこういうことがないようにしたい」と述べ、日中双方が共同で原因を究明し、再発防止を図る姿勢を示した。

 これに対し、何氏は「大変遺憾だ。被害者にお見舞いを申し上げる。原因究明と輸出停止などの措置をとった」と答え、中国側がすでに警察当局に捜査を求めるなど具体的な措置を講じたことを明らかにした。

 何氏は中国側の講じた措置として、関係企業に輸出・生産停止を指示▽関係企業から商品の抜き取り検査を実施▽関係企業に日本の輸入業者と連絡させ、出荷した商品の回収を指示▽警察に捜査を要請——の4点を挙げたという。

 こうした事態を受け、両国政府は昨年12月に署名した日中刑事共助条約を早期発効させるため、同条約の国会承認を急ぐことも検討し始めた。

 一方、輸出入の監督をする中国国家品質監督検査検疫総局の王大寧・輸出入食品安全局長は31日、記者会見し、日中が協力して調査を進めることで合意したことを明らかにした。輸出入食品安全局の副局長をトップとする調査団4人を近く日本に派遣する方針だ。

 王局長は、天洋食品に対する調査では「今までのところ問題は見つかっていない」と説明。中毒の原因とみられる製品と同じ昨年10月1日、20日製造のギョーザのサンプルと、現在使用中の原材料を検査したが、有機リン系農薬の成分であるメタミドホスは検出されなかったという。

 また、輸出前に実施した白菜など原材料の残留農薬検査には合格していたという。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/international/update/0131/TKY200801310245.html