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2008年02月01日(金) 22時48分

米マイクロソフトがヤフーに買収提案、4兆7300億円朝日新聞

 ソフトウエア世界最大手の米マイクロソフト(MS)は1日、インターネット検索世界2位の米ヤフーに、総額約446億ドル(約4兆7300億円)での買収を提案した、と発表した。実現すれば、ネット関連事業の年間売上高は両社の単純合計で100億ドル程度となり、ネット検索世界最大手グーグル(165億ドル)に対抗できる規模になる。ネット事業で出遅れたMSは、ヤフー買収で一気に攻勢をかける狙いだ。

 米国の検索サイトの検索回数シェア(米コムスコア調べ)は07年12月時点で、グーグルが約58%を占めて圧倒。2位ヤフー(約23%)、3位MS(約10%)は後塵(こうじん)を拝しているが、買収が成功すれば対抗勢力として存在感が格段に増す。

 提案では、MSは現金と株式を組み合わせて買収する。ヤフー1株当たり31ドルで買い取るとしており、前日1月31日のヤフー株の終値に62%上乗せした。高額の条件でヤフーの経営陣と株主の同意を取り付けたい考えとみられる。MSは今年後半には買収手続きを完了したい、としている。

 ヤフーは1日、「我々が求めていない提案がMSからあった。ヤフーの戦略と長期的に株主価値を最大化するための行動として、慎重かつ迅速に検討する」とのコメントを出した。

 98年操業のグーグルは、検索エンジンの使い勝手のよさなどを武器にシェアを急伸。ネットサービスの先駆者として知られるヤフーはあおりでここ数年、低迷を余儀なくされている。ヤフーの07年10〜12月期決算は当期利益が23%減の2億ドルで、グーグルのわずか6分の1。業績回復に向け従業員1000人のリストラを打ち出していた。

 一方、MSも、ネット事業を新たな収益の柱に育てる方針で、強化を進めてきたが、シェアを得られず、十分な利益もあげられていない。ヤフー買収によって、先行するグーグルとの差を詰め、勢力図を一気に塗り替える考えとみられる。

 MSのスティーブ・バルマー最高経営責任者(CEO)は「両社が一緒になれば、オンラインサービス市場における競争でより優位な地位になる」と述べ、買収への賛同を呼びかけている。

 MSは1日公表したヤフー経営陣にあてた手紙で、過去にヤフーに合併を提案したが、07年2月にヤフーの業績改善の可能性を理由に断られていたことを明らかにした。そのうえで「あれから1年たったが、競争環境は改善していない」として、買収提案に応じることを求めている。

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 〈マイクロソフト〉1975年にビル・ゲイツ現会長らによりコンピューターソフトウエア制作会社として設立。85年に最初のパソコン向け基本ソフト「ウィンドウズ」を開発した。07年6月期の売上高は511億米ドル。世界103カ所に事業拠点があり、世界での従業員は7万8000人。

 〈ヤフー〉検索サービスをはじめとするポータルサイトの運営が主力の米国のインターネット関連企業。95年にスタンフォード大のデビッド・ファイロ、ジェリー・ヤンの両氏が創業した。07年12月期決算は、売上高が69億6900万ドル(約7421億円)、当期利益は6億6000万ドル(約702億円)。日本のヤフーには33.42%を出資している。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/business/update/0201/TKY200802010358.html