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2008年02月01日(金) 06時01分

殺人ギョーザ被害拡大スポーツ報知

問題のギョーザ商品の残留農薬検査を行う研究員

 中国製冷凍ギョーザによる中毒の発覚から一夜明けた31日、厚生労働省は全国に同様の事例の報告を指示し、同日昼までに新たに38都道府県計494人が「ギョーザなどを食べて体調が悪くなった」と届けた。中国の製造元からギョーザ以外の食品を輸入していたのが計19社と判明。同省は各社に販売中止を要請した。各地のスーパーなどでは商品撤去が相次ぎ、中には学校給食で使用されていたケースも。“殺人ギョーザ”パニックが止まらない。

 「ギョーザショック」が日本を覆っている。回収対象のギョーザなどを食べた後に嘔吐(おうと)やめまいなどの不調を訴え、自治体などに届けた人が続出した。

 30日に中毒症状が確認された10人と不調を訴えた7人を加えると、31日午後11時現在、症状を訴えたのは38都道府県の計494人。20人以上が不調を訴えたのは青森、茨城、埼玉、神奈川、福岡など。原因とみられる有機リン系殺虫剤「メタミドホス」との因果関係は不明。いずれも症状は重くないという。

 自治体への届け出以外にもギョーザを販売した生協などに購入者から不調を訴える声が続出。「コープおきなわ」が30日からギョーザの購入者約1万人に電話したところ、数十人が「そう言えば、気分が悪くなった」などと答えた。子供1人が入院したという。

 兵庫県高砂市の自営業男性(51)宅で3人が中毒症状に見舞われた件では、男性と二男(18)の胃から有機リン系殺虫剤のメタミドホスを検出されたことが明らかに。母子2人が中毒になった千葉市稲毛区のギョーザからも第三者機関の検査でメタミドホスが検出された。ギョーザに農薬が付着、または混入していた可能性が高く、製造元の責任が強まってきた。

 問題は子供たちの口に入る学校給食にも飛び火。秋田、茨城など計10県の小中学校で回収対象の食品を給食で使用していたことが判明した。

 一方で「中国不信」が加速している。大手百貨店の大丸や近鉄百貨店が全国の店舗で中国製の冷凍食品などの販売を中止する方向だ。外食大手のすかいらーくもグループ約3300店で揚げ物など中国で最終加工された調理済み食品の使用を中止することを決めた。

 買い物客も不安の声が上がっており、東京都江東区のスーパーに来ていた近所の主婦(38)は「これまで中国製は避けてきた。命にかかわる問題で『毒味』して売ってほしいとまで思ってしまう」と憤った。商品を一斉に撤去したさいたま市浦和区のスーパーの関係者(56)は「風評被害も懸念して撤去した。安全が確認されるまで扱わない」と話した。

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20080201-OHT1T00111.htm