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2008年02月01日(金) 07時10分

製造工場 過酷な実態 天洋食品元従業員訴え東京新聞

 【石家荘(中国河北省)=新貝憲弘】冷凍ギョーザの製造工場「河北省食品輸出入集団天洋食品」では三十一日、河北省や国の担当者が工場内の製造現場などを調査した。同社の元従業員からは過酷な労働条件に不満を訴える声も聞かれた。

 この日昼すぎ、同省出入境検験検疫局の車二台が到着。車から降りた男性局員は、三十日夜から大人数で工場を検査していると説明。「これまでに何度も来ている。われわれは独自に調査しており、今回の件を特に重視し、特に真剣に調査している。信用してほしい」と述べ、報道陣に飲料を渡して工場に入った。

 その後、国家品質監督検査検疫総局とみられる車二台も工場内に入り、同日午後五時(日本時間同六時)まで調査を実施。段ボールを車に積んで立ち去った。

 昨年末までギョーザ加工を担当していた地元の元女性従業員(43)は、月給千元(約一万五千円)で連日朝七時から午後十時まで働かされ「四十度の高熱でも休むと給料を引かれた」と話す。今年から施行された労働契約法で労働コストが上がったことから「勤続の長い仲間と一緒に強制的に退職させられた」。このため仲間とともに、解雇を不当として市の労働仲裁所に訴えているという。

 ギョーザの加工作業は「野菜もすべて洗っており衛生的に問題はなかった」と語る。今回の件については「原因は分からないが、起こってはいけないことだ」と述べた。しかし、別の元従業員によると、三年ほど前にも農薬が検出されたことがあったと話した。従業員の多くは工場内の宿舎に住んでいるという。

 工場は市南部郊外の工業地区の一角。工場の前はトラックやバスが頻繁に行き交う。近くに住宅街もあるが、住民の一人は「この一帯のほとんどは出稼ぎ労働者が住んでおり、隣の人も知らない」と話していた。

(東京新聞)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008020190071019.html