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2008年02月01日(金) 13時04分

中国製ギョーザ中毒:消費者から不安の声 体調不良の訴え相次ぐ /秋田毎日新聞

 中国製冷凍ギョーザの中毒事件が報じられて一夜明けた31日、県や保健所には体調不良の訴えが相次いだ。体調不良と殺虫剤などによる中毒との因果関係は確認されなかったが、スーパーや小売店は商品の撤去に追われ、消費者からは不安の声が聞かれた。【馬場直子、津村豊和、岡田悟】
 ◇届け出は8人、因果関係は否定
 県内での被害の届け出は、31日午後5時現在、いずれも秋田市の男女8人。ただ、食べ残しの食品から殺虫剤が検出されなかったことなどから、秋田市保健所は、8人全員について商品との因果関係はないと結論付けた。
 秋田市保健所によると、残っていた4人分のギョーザや包装紙を調べたが、有機リン系殺虫剤「メタミドホス」は検出されなかった。このほか、全員軽症▽急性の中毒症状がない▽薬物が混入した商品と同じ賞味期限の商品はなかった——などから、中国製食品と体調不良の因果関係を否定した。
 ◇「手作り餃子」生協で1年間2900個販売
 ジェイティフーズ(東京都品川区)が輸入し、薬物混入の問題があった中国製冷凍食品は「手包みひとくち餃子」と「COOP手作り餃子」。県内では、生協での共同購入と、スーパーなどその他の小売店舗での販売に大別できる。
 秋田市民消費生活協同組合の木村純一専務理事は31日午前10時半から県庁で記者会見し、謝罪のうえ「販売した者の責任として、最大限できることをし、再発防止に努めたい」と述べた。
 県内生協では、「手作り餃子」を過去約1年間で約2900個販売していた。また、ジェイティフーズ社が自主回収の対象とした商品を共同購入や店舗でも販売しており、いずれも回収し、組合や店舗で返金に応じる。
 約2900個の内訳は秋田市民生協が1767個(07年1月から1年間)、県北生活協同組合が1084個(07年3月〜今年1月)。このほか、秋田市民生協では自主回収商品のうち2品目327個を共同購入で取り扱った。店舗で販売した6品目の販売数は調査中。北生協は3品目429個を販売した。
 ◇「ひとくち」販売は15店−−秋田市では11店舗
 薬物混入による健康被害が出ている中国製冷凍ギョーザ「ひとくち餃子」は、県内のドラッグストアやスーパーなど15店舗で販売されていたことが県と秋田市の調査で分かった。いずれの店舗も店頭から撤去済み。
 県などによると、秋田市ではスーパーなど11店舗で取り扱いがあった。秋田市以外で販売した店舗数は、大館市1▽大仙市1▽湯沢市2。県は171、秋田市は48の計219店舗を調査。県の調査対象のうち、ジェイティ社が自主回収中の23商品を仕入れた店舗は70あったが、すべて撤去した。秋田市は調査中。
 ◇問題ギョーザ、給食は使わず
 各市町村教委によると、問題となっている「手作り餃子」と「ひとくち餃子」は県内小中学校の給食では使用されていなかった。このギョーザ以外でジェイティ社が自主回収している21品目と同一製品のうち、「お弁当大人気!豚肉のごぼう巻き」「柔らかく煮込んだロールキャベツ(トマト味)60」など7種類が給食で使用されていたが、給食を食べたことによる健康被害の相談はなかったという。問題を受けて県教委は31日、市町村教委に対し、中毒があったギョーザについて注意するよう呼びかけた。
 県内の小中学校などの発注を受けて給食の材料を購入する「財団法人秋田県学校給食会」(高橋一郎理事長)は、水ギョーザやたこ焼きなど中国で加工された4品を取り扱っている。これまでの残留農薬の検査で異常は見つからなかったが、一連の問題を受け4品の使用の取りやめを検討しているという。
 ◇小売店は既に撤去
 小売業者や消費者にも動揺が広がっている。
 県内で「グランマート」などスーパー17店舗を展開するタカヤナギ(本社・大仙市)は中毒症状を起こしたギョーザは扱っていなかったが、ジェイティ社が自主回収を呼びかけている製品のうち「豚肉のごぼう巻き」など3品を扱う店舗があり、この3品を含む同社の製品計14品を30日午後7時ごろまでに全店舗から撤去した。同社の岡本繁雄・グロッサリー部チーフマネージャーは「昨年から被害が出ていたと報道されているが、ジェイティ社はなぜすぐに真相解明をせず、販売を続けたのか」と話した。
 秋田市外旭川小谷地のグランマート外旭川店で31日、買い物をしていた同市の主婦、三井志瑞さん(53)は「主婦として家族の健康を一番に考える。子育てが忙しい時は冷凍食品を使うこともあった。今回問題になった製品は一見、中国製とわからなかった」と話した。また、埼玉県から潟上市に帰省中の主婦、平田真季子さん(24)は妊娠10カ月。「普段から冷凍食品はあまり食べないが、自分だけの影響にとどまらないのでなおさら怖い」と話した。
 ◇日本の食糧事情考えると…100%排除はムリ−−会見で秋田市民生協専務理事
 中国製食品の安全性への懸念はますます高まっているが、全くなしで済ませることは難しい。木村純一・秋田市民生協専務理事は会見の中で「中国だから全部だめといっても、日本の食糧事情を考えると難しい」と漏らし、ため息をついた。
 同生協では、昨年から中国産の売れ行きが落ちており、顧客から「中国産は扱わないでほしい」との要望も寄せられているという。しかし、原料までさかのぼって調べてみると、正確な数字は分からないものの、加工食品への中国産使用は相当数に上るという。
 木村専務理事は「100%中国産を排除すると店内から多くの品物が消えてしまう。安全性を確保しながら中国産商品を扱わざるを得ない」と述べた。
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 ◇中国製冷凍食品にかかわる被害届け出(31日午後5時時点)
   年齢  性別 摂食日      品目       症状  届け出日
(1)50代  男 1月22日    ひとくち餃子   吐き気 1月30日
(2)50代  女 1月22、29日 ひとくち餃子   充血  1月30日
(3) 9歳  男 1月30日    ひとくち餃子   腹痛  1月31日
(4)50代  女 昨年秋      中国肉餃子    吐き気 1月31日
(5)20代  女 1月27日    ひとくち餃子   めまい 1月31日
(6)30代  男 1月26日    豚肉のごぼう巻き 下痢  1月31日
(7)30代  男 1月27日    ひとくち餃子   下痢  1月31日
(8)12歳  女 1月27日    ひとくち餃子   下痢  1月31日

2月1日朝刊

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