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2008年02月01日(金) 13時02分

中国製ギョーザ中毒:問う安全 身近な食へ回帰、県産キャベツの需要拡大 /岩手毎日新聞

 ◇身近な食へ、じわり回帰
 遠く外国から食品が大量輸入されるようになって久しい。だが、身近な農産物、食品への回帰は少しずつ進んでいるという。中国製冷凍ギョーザが県内スーパーや生協から撤去、回収されるなか、地産地消の意味が改めて問われている。【山口圭一】
 全農県本部青果販売課の照井勝也課長は「ここ数年、食品加工業者の国内回帰が水面下で進んでいる」と話す。全農県本部が取り扱った県産キャベツの出荷量は05年160万ケース(1ケース10キロ)から190万ケースへ増加。キロ単価は78円から80円に上がった。
 基準が設定されていない農薬が残留する食品の販売を禁じたポジティブリスト制度が始まった06年以降、県内農産物の引き合いは増えたという。
 JA新いわて岩手中央支所は、約5年前から千葉県の加工場に冷凍ロールキャベツ用の「いわて春みどり」を出荷している。だが、加工業者との新規取引には「条件に折り合いがつけば……」と言葉を濁す。長期間の安定供給や低価格が求められる加工業者向けへは対応が難しいのだ。
 和食レストラン「まるまつ」を展開するカルラ(宮城県富谷町)は05年、奥中山高原の今松野菜生産組合と契約を締結。5〜11月はレタス、キャベツ、大根を同組合から仕入れ、全約130店分をまかなう。同社の喜多克彦執行役員は「最初は要求通りにはいかなかったが、昨年は数量、品質、価格とも納得のものが出てくるようになった」と話す。
 ◇消費者の意識変化必要−−岩手大学農学部・塚本知玄准教授(食品化学)の話
 有害物質が入ってしまえば、どんな監視体制でも事前チェックは難しい。安全安心な食品を買うにはお金がいる。大丈夫だろうと安い品を買う人がいれば、現状の悪循環が続く。各生産者が安全な食料品を作っても価格は高くなり、グローバル市場の現代では成り立ちにくい。各国の協力体制と消費者自身の自己防衛、意識変化が必要だ。

2月1日朝刊

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080201-00000107-mailo-l03