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2008年02月01日(金) 12時01分

中国製ギョーザ中毒:県内パニック 「食」の安心、安全は… /千葉毎日新聞

 有機リン系の農薬成分が含まれた中国産冷凍ギョーザによる健康被害が相次いでいる問題で、県内の各自治体には31日、消費者からの相談が相次いだ。保健所は一斉に、問題のギョーザを取り扱っていた小売店の立ち入り検査を開始。関係者らは商品を撤去するなど対応に追われた。県内の動きをまとめた。
 ◇返品客相次ぐ
 ■コープ市川店
 冷凍ギョーザで中毒を起こした一家5人が商品を購入したコープ市川店(市川市鬼高)では、午前10時の開店と同時に返品に訪れる客が相次いだ。夕方までに冷凍ギョーザが13個、それ以外の中国産冷凍食品8個が持ち込まれた。
 ギョーザを返品した50代の女性は「中国産はあまり買いたくないが、安いので買ってしまう。毎週利用しているが、まさか近所でこんなことが起こるとは思わず、びっくりしている」と話した。
 同店は中毒の発生と商品の回収を知らせる張り紙を店内3カ所に掲示。自宅配送の利用者にも、電話やチラシなどで回収を呼びかけている。同店を運営する新林建次・ちばコープ営業企画部長は「健康被害に遭われた方の回復を祈るとともに、新たな被害を出さないため、回収に全力を挙げる」と話した。
 コープ花見川店(千葉市花見川区)でも、店員が対応に追われた。夕方までに12件の問い合わせがあり、返品の申し出にはスタッフが出向いて対応。川上保史店長は疲れ切った表情で「お客様は冷静に対応していただいたが、予断を許さない状況。今後も商品の回収をしっかり行っていきたい」と話した。【袴田貴行、駒木智一】
 ◇立ち入り検査
 ■県市川保健所
 県市川保健所は冷凍ギョーザを販売したコープ市川店に対し、食品衛生法に基づく立ち入り検査を実施した。
 同店への検査は、1月29日に続いて2回目。各メーカーが自主回収を発表している冷凍食品が店頭から撤去されているかを確認した。
 午後2時15分ごろ、同保健所の職員2人が店に到着。約15分間にわたり、冷凍食品の陳列コーナーを点検。撤去の状況や苦情の有無を聞き取り調査した。
 千葉市保健所もコープ花見川店に立ち入り検査。立ち会った川上保史店長らから商品の管理状況などを聞き取り調査した。
 県内ではこの他、14保健所が約150店舗に立ち入り検査。問題のギョーザを扱っていたのは約100店舗あったが、全店舗で撤去されていた。県は今後、約500店舗を調査する。【袴田貴行、中川聡子】
 ◇被害相談は50件
 ■県が対策会議
 県衛生指導課などによると、冷凍ギョーザなど中国製の商品を食べて体調を崩したという相談は約50件に上った。混入していた「メタミドホス」との関連が分かったものはなかったが、数件については調査を継続する。
 県は庁内に緊急対策本部「食の安全・安心対策会議」(会長・植田浩副知事)を設置。県食品衛生協会など各種団体に対し、問題のギョーザは使用しないよう呼び掛けた。また、同課に相談窓口(電話043・223・2638)を設けた。
 堂本暁子知事は定例会見で「県内コープの2店舗でギョーザを買った方が中毒になったのは申し訳なく思う。早い回復を願います」と述べた。【神足俊輔】
 ◇「天洋食品」撤去
 ■スーパーなど
 県内のスーパーでも、冷凍ギョーザの製造元の「天洋食品」(中国)の製品を撤去するなど対応に追われた。
 県内に38店舗展開するセブン&アイ・ホールディングス(本社・東京都)のイトーヨーカドー、ヨークマートでは、ジェイティフーズが輸入した冷凍食品22品目を売り場から撤去して営業を始めた。
 同じく30店舗あるイオン(千葉市)では、4品目を撤去して開店。その後、メーカーから自主回収要請が相次ぎ、営業時間中にさらに3品目を撤去した。11店舗を展開するダイエー(東京)も開店前に9品目を撤去した。各社とも健康被害に関する利用者からの訴えはないという。【寺田剛】
 ◇「痛い、痛いと泣いていた」−−中毒の娘搬送、消防署員会見
 一方、冷凍ギョーザを食べて中毒に陥った千葉市稲毛区の女性(36)と娘(3)を搬送した消防署員らが千葉市役所で記者会見した。
 稲毛消防署救急隊の石田悦美隊員(43)は「女性はうずくまって苦しんでいた。『ギョーザを食べた』という言葉が記憶に残っている」と話した。女性をおぶって救急車まで運んだ加藤浩二郎隊員(33)は「おぶってもしがみつけず、力が入らない感じだった」と当時の状況を話した。外山尚隊員(37)は「娘さんはリビングで横になり『痛い、痛い』と泣いていた」と説明した。【駒木智一】

2月1日朝刊

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080201-00000077-mailo-l12