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2008年02月01日(金) 10時50分

<中国製ギョーザ>販売実態の把握は難航…流通ルート複雑毎日新聞

 中国製冷凍ギョーザによる中毒事件で、天洋食品から輸入した製品の回収を急いでいる日本の食品メーカーが、販売実態の把握が困難な状態になっている。卸業者が複数介在するなど流通ルートが複雑で、回収も同様のルートをたどる場合が多いためだ。被害の全容解明には欠かせない実態把握は難航しそうだ。【まとめ・千代崎聖史】

 事件の発端となった「ジェイティフーズ」(東京都品川区)は06年4月〜07年12月、市販用に57万6000ケース(1ケース12〜24袋)、業務用に約1397万3000個を出荷した。卸売店や小売店にホームページや営業ルートを通じて返品を依頼しているが、親会社の日本たばこ産業IR広報部は「問い合わせが殺到しており、回収状況を確認する余裕がない。出荷先が卸売店なのか小売店なのかの判別も現時点では困難」と話した。

 味の素冷凍食品(中央区)は、市販用「ピリ辛カルビ炒飯」と業務用「カルビクッパ」の自主回収を始めた。市販用の出荷実績は月約9万6000袋。店頭はすべて撤去したが、半分の約4万8000袋が各家庭に行き渡ったとみられる。返品後に最終的な販売量を確定させることにしている。

 しかし、ファミリーレストランなどに月約1万2000袋を出荷している業務用は、見通しがまったく立たない。「卸業者に回収を指示したが、1次、2次卸と複数の業者がいて在庫の確認がすぐできない」という。

 問題のギョーザと同じ工場で加工された豚肉を使った自社製冷凍食品1品目の回収を発表した「江崎グリコ」(大阪市)も同様だ。出荷先の食料品店約3000店や食品卸会社約70社に対し、営業担当社員が電話で回収の依頼を始めた。しかし、大半は卸会社を経て流通するため、卸会社を通じて同社に商品が戻るまでには約2週間かかる。同社広報IR部は「まずは店頭からの撤去が重要で、当社に戻るまで数の把握は無理」と語った。

 加ト吉(香川県観音寺市)は、市販用・業務用のいずれも複数の卸業者を通じて納入しており、回収作業には、まずそれぞれの現地に担当者を派遣して在庫を特定する必要があるという。同社広報部は「出荷の規模は把握できているが、在庫や消費された量などは不明。どのくらい時間がかかるか分からない」と頭を抱える。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080201-00000021-mai-soci