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2008年02月01日(金) 09時19分

撤去・返品やまず 京滋の流通業界、中国製ギョーザ中毒京都新聞

 中国製冷凍ギョーザによる中毒事件が、京都、滋賀の小売りや卸売りなど関係業界に波紋を広げている。スーパーは、回収対象にならなかったものの、同じメーカーの商品撤去や返金に追われ、卸売業者には返品の山が押し寄せた。業界関係者からは「過剰な反応が起こらないよう消費者に冷静な対応を求めたい」と切実な声が上がっている。また、消費者にも戸惑いが広がった。
 京都市内にスーパー7店を展開するエムジー(左京区)は、31日午前中に、回収品目以外でもジェイティフーズのすべての冷凍食品を売り場から撤去するよう全店に指示を出した。同社の湯浅哲也常務は「情報不足のなかで混乱しないよう1時的に撤去したが、安全性を見極めて再び陳列するか検討したい。まずは中毒事件の原因究明を急いでほしい」と要望した。
 府内で15店を構えるマツモト(亀岡市)は、ジェイティフーズの冷凍食品は回収対象以外でもレシートがあれば返金に応じており、すでに10点ほどの返品があったという。滋賀を中心に102店を運営する平和堂(彦根市)は、ジェイティフーズと江崎グリコが回収している商品を購入したカード会員に電話で連絡し、自宅まで従業員が出向いて返金している。
 卸売業者からは冷凍食品に対する不信感の広がりを心配する声が聞かれた。冷凍食品卸売会社のジャパンフーズ(伏見区)では、京滋を中心に取引先のスーパー約200店からジェイティフーズの冷凍食品の返品が相次ぎ、段ボール箱約300−400個分にもなった。同社の中井俊三会長は「現状では返品も仕方ないが、すべての冷凍食品が悪いと思われるのが残念。当分、イメージダウンが続くのでは」と心配する。
 京都の食品関連企業を対象にした危機管理対策セミナーを25日に開いたばかりの京都商工会議所食品・名産部会の平井義久部会長は「消費者の不安解消に応える仕組みづくりを充実させる必要がある。中国産をはじめとした輸入食品に対する風評被害が起こらないよう十分注意し、政府は中国に対して食品安全管理の徹底を厳しく申し入れしてほしい」と話している。
 一方、ジェイティフーズ社の冷凍食品を回収した中京区のスーパーで買い物をしたパート西川佳乃さん(32)は「子どもの弁当を調理する手間や安さを考えると、手作りだけに替えて自衛するのは難しい。冷凍食品の大半は中身が見えずに、パッケージにイメージ写真があるだけ。何を基準に安全性を判断すればいいのか途方に暮れる」と話した。
 同区のスーパーで冷凍食品を手にとっていた主婦吉川嘉世子さん(52)は「パッケージの裏に原材料は表記されていても、どの国のどんな会社が調理したのか分からない商品が多い。他の日本の会社も自社で製造しているかどうか、示してほしい」と注文をつけた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080201-00000003-kyt-l26