記事登録
2008年02月01日(金) 08時28分

“農薬抜け穴”総点検急ぐ 中国製冷凍ギョーザ中毒 食品流通各社が自己防衛フジサンケイ ビジネスアイ

 中国製ギョーザによる中毒事故は発覚から一夜明けた31日も、健康被害や商品回収などの影響が拡大し、関係業界は対応に追われた。中毒は冷凍加工食品の輸入検査で対象外だった農薬成分が原因で、安全管理体制の“盲点”を突いて日本に入ってきた。このため、中国産や中国製の食品の安全性を厳しくチェックしてきた食品や外食、流通などの関係業界では、管理体制に抜け穴がないか総点検を迫られている。「安全を軽視すれば消費者の手痛いしっぺ返しを食らう」(大手スーパー)だけに、“自己防衛”に走らざるを得ない状況だ。

 「これまで対象ではなかった品目でも抜き取り検査を行い、検査の頻度も高める」

 冷凍食品大手、日本水産(ニッスイ)で品質保証を担当する井原直人取締役は31日、中国製冷凍食品の農薬検査を強化する方針を明らかにした。

 現行の食品衛生法では、野菜などの原材料については、抜き取りによる残留農薬の検査を義務づけているが、チェック後の原材料を加工した冷凍食品の場合は、原則不要とされている。製造過程で農薬に触れる可能性がほとんどないため、加工品は細菌や抗生物質、試食による検査が中心だ。

 ニッスイは問題となった中国の工場で製造した商品はなかったが、「消費者に安心してもらうことが先決」(井原取締役)と強調している。

 ある大手食品メーカー役員は「消費者の中国製食品離れが心配。中国の食料品なくしては日本の食は成り立たないため、信頼できる調達先の基準を見直さざるを得ない」と話す。

 ただ、スーパーなどで集客狙いの安売りセールの対象となる冷凍食品は価格競争が激しく、安全・安心のためのコスト負担増の影響は大きい。

 「検査を強化するには一つの商品につき数十万円の費用がかかることもある」

 問題の工場から業務用冷凍食品を仕入れていたことが判明し、自主回収を決めた日本食研も、検査強化の検討に入ったが、原材料高との“板挟み”で苦悩を深めている。

 業界からは「すべての中国産冷凍食品で残留農薬にチェックの網をかけるのは無理」(別の大手食品メーカー)との声も出ている。

 厚生労働省は検査態勢の見直しを検討しているが、製造過程の安全確認は「基本的にメーカーや輸入業者の自主的な対応が必要」との姿勢で、行政の対応を待つまでもなく、各社は総点検を進めている。ただ、「どの段階で農薬が混入したのかなど原因究明を待って的確に対処したい」とし、すべての加工食品に農薬検査を広げるのに慎重な声もある。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080201-00000002-fsi-bus_all