記事登録
2008年02月01日(金) 08時01分

列島パニック拡大 中国製ギョーザ中毒産経新聞

 中国製ギョーザ中毒事件は食品業界以外にも波紋を広げている。「北京五輪の旅行客に影響しなければよいが」「風評被害が心配だ」。旅行業界や観光地などの関係者の表情は複雑だ。

 ■五輪商戦「様子見る」

 航空会社や大手旅行会社には、旅行客からの問い合わせはまだないものの、「事態が長期化した場合には、中国旅行への影響が心配だ」との声が出始めている。五輪商戦を前に思わぬ不安材料を抱え込んだ形だ。

 段ボール肉まん事件や中国製品の安全性、都市部の大気汚染などの問題が影響し、中国旅行は旅行会社も苦戦している。日本旅行業協会によると、大手などの中国旅行の1〜3月予約状況は、各月前年比13〜22%減と奮わない。

 こうしたなか、北京五輪は「大きなビジネスチャンス」と期待を寄せていた。

 JTBは「今回の事件で消費者心理がどう動くか」と不安をのぞかせる。ツアー客を案内するレストランは、現地スタッフが実際に食事をして衛生面もチェック。今回の問題とは直接関係がないが、中国全般に対するイメージ悪化が懸念材料だという。

 日本旅行は「イメージは悪くなると思うが、今回だけの問題ではない」。特に対策を講じる予定はなく、様子を見守っていくしかないという。

 一方、近畿日本ツーリストは「影響が出る場合は1日で出る。現時点で(キャンセルなど)大きな動きがない」として、影響は小さいとの見方。「旅行目的がはっきりしている人にはキャンセル理由にはならない」。五輪商戦への準備を淡々と進めていくという。

 ■名物・人気店「困った」

 ▼餃子の宇都宮

 「餃子(ぎょうざ)の街」として売り出している宇都宮市。市内のギョーザ店が加盟する「宇都宮餃子会」は31日、加盟店60店舗に中国産の野菜や肉、加工品の使用の有無について緊急調査を始めた。

 市内のギョーザ専門店では客の入りを心配する声も。平日でも行列ができることで知られるギョーザ専門店「みんみん本店」では「いくらか暇なようです」。冷凍餃子を贈答用に宅配で販売している専門店も多いが、ある専門店の店主は「ニュースであれだけ騒がれたら、ギョーザを贈ろうと考える人はいないでしょう」と心配する。

 別のギョーザ店の従業員は「うちはすべての材料は国産。問題はないです」と話すが、関係者によると、キャベツやニラなどの野菜は国産でまかなえるものの、ショウガやニンニクは国産が品薄で高価なため中国産を使っている店もあるという。中国産のショウガを使用していると明かした専門店主は「冷凍食品ではないが心配なので、今後は国産に切り替えます」。

 ▼横浜中華街

 横浜中華街の関係者は、昨年、発がん性物質を含んだウナギや「段ボール肉まん」のヤラセ報道などにより遠のいた客足が戻ってきたばかりの出来事とあって、今回の事件に落胆を隠せない様子。

 中華街では昨年秋に大学教授を招いて食の安全に関する勉強会を開くなど、信頼回復に向けた活動に取り組んでいた。ある高級中華料理店の担当者は「安全にはかなり気を使ってきたのに、このようなことがあっては非常に困る。中華街全体に打撃があるかもしれない」と声を落とす。

 同店には「安全なのか」との問い合わせが数件あり、仕入れ先から原産地や検査の証明書を取り寄せて、安全性を確認しているという。

 別の人気中華店では「本当にショック。うちは手作りだから心配はないが、イメージダウンにはつながるだろう」と影響を懸念している。


【関連記事】
中国検疫当局が即日会見「ギョーザ原料から農薬農薬検出せず」
毒ギョーザ…安売り競争に明け暮れる冷凍食品業界
毒ギョーザの農薬、中国では死者相次ぎ禁止
冷凍食品の検査は不要…「隙」突いた毒ギョーザ
事件すべて掲載…臨時特集「毒ギョーザ」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080201-00000088-san-soci